建築模型士とは住宅などの建物を建設する際に、建築士など設計者が考案した建物を縮尺模型で再現する仕事のことです。ここでは、建築模型士の仕事内容や給料、やりがいなどについて紹介します。
建築模型士の仕事は、住宅や施設などを建てる際に建物のミニチュア模型をつくることです。基本的に建築模型は縮尺模型として作成され、実物の建築物の1/50スケールや1/100スケールと非常に小さく作ることで、建物の全体像や構造を把握しやすいようにします。実際の図面に即した模型を作り見てもらうことで、建物の完成形をより具体的にイメージすることができるでしょう。打ち合わせ時にクライアントに提示し、設計に致命的な問題がないかどうかを確認するためにも用いられることもあります。
建築模型においては、簡易的な模型から外観の詳細や庭や周りの景観なども忠実に再現した緻密な模型まで、多種多様な模型作成が行われます。大規模な都市開発や広域の都市計画の場合には、特定の駅の周辺全てを模型に再現したり街全体の俯瞰図を立体模型にしたりと非常に大きい建設模型を作成する場合もあります。
建築模型には、目的によってプレゼンテーション模型やスタディ模型に分かれます。プレゼンテーション模型は、設計士が施主に説明して見せるためにつくる模型のこと。外観まで含めた緻密なものになる場合が多いです。スタディ模型は、設計士が設計する途中で実際の空間を検証するためにつくる簡易的なものになります。
建築模型士になるにあたり、特別な資格は必要ありません。ただし建築図面を理解して模型を作成する必要があるため、図面を読むための基礎的な知識は必要です。特に模型図面が読めるかが重要となります。建築模型は縮尺が異なるだけで実際の建物とまったく同じである必要があるため、図面を読めることは建築模型士の絶対条件でしょう。さらに建築模型を作るための専門的な技術も必要になります。
資格はいりませんが知識や技術は必要なため、建築模型士になるには設計事務所やハウスメーカーなどに勤務しながら知識や経験を習得するのが一般的な方法といえます。また、建築模型士や実践建築模型などの資格が通信講座によって取得することもできます。資格取得のために勉強することで建築模型士としての知識や技術が身に付くため、資格取得を目指すのもよいでしょう。仕事を受注するときに、自身の能力を客観的にアピールする材料にもなります。
建築模型士は、設計事務所や企業に就職して働いている人と、副業や住宅ワーカーとして個人で仕事を請け負っている人がいます。収入は雇用形態によって異なるほか、厚生労働省調査でも項目として挙げられないため実態はつかめていません。建築模型作りだけでなく他の業務と兼務することが一般的です。スキルをもつことで採用や給与額増に良い影響を与えることができるでしょう。
模型自体の単価は規模や精密さによって幅があり、簡単なものでも2~3万円、緻密で規模の大きいものなら数百万円になることもあります。規模の大きい模型はチームで作成することになります。フリーランスとして個人で受注する場合は中小物件が中心となり、1個当たり数千円~数万円の案件が一般的。収入は模型の制作個数、製作する模型の規模や種類などによって大きく変動します。
建築模型士のやりがいは、自分の手でこだわりを持って模型を作成できる点にあります。リアリティのある複雑な模型を依頼されることもありますが、難しい分出来上がったときには達成感を味わうことができるでしょう。また建築模型士は住宅だけでなく、時には多くの人が利用する大規模な施設や街全体の建設模型の作成に携わることもあります。プロジェクトが大規模であればあるほど、模型の重要性は増します。多くの人の生活に意味を持つ大規模な建造物の設計に関わることができることもやりがいのひとつといえるでしょう。
現在のところ、建築模型士を専門とする求人は少ないです。建築模型士として働きたいのならば、以下の3つの方法があります。
企業や設計事務で建築模型を製作する場合、業務時間内における建築模型製作時間と他業務の時間配分は企業によってまちまちです。フリーランスとして仕事を受注する人の中には、建築模型製作の仕事一本で生計を立てている人もいます。
建築模型士は専門の職業としての求人募集がほとんどなく、需要が少ない仕事とも言われています。近年、企業側はコストを抑えるために模型製作を外注することが増えているため、フリーランスや副業としての需要は少なからずありますが、3DCADの普及によって人力による模型作りのお仕事は減少していく可能性がある、と認識しておく必要があります。
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