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沈埋トンネル工法

沈埋トンネル工法は海の底や川の底へトンネルを設置するための方法であり、日本では昭和19年(1944年)に大阪市安治川の水中トンネルの施工に採用されました。このページでは、土木施工管理技士として知っておくべき沈埋トンネル工法を紹介します。

沈埋トンネル工法とは

沈埋(ちんまい)トンネル工法とは、最初に地上でコンクリートや鉄を使ってトンネルのパーツ(沈埋函)を製造しておき、それを船舶で海や川へ運搬した後、目的に部位に各パーツを沈めてつなぐことで水中にトンネルを作る工法です。海底トンネルや川底トンネルを構築するために用いられる施工法であり、日本では終戦前から実際に採用されてきました。

海底トンネルの建設にはシールド工法や開削工法といった工法も採用されますが、沈埋トンネルにはトンネル全長を短縮できたりトンネル品質を高めたりといったメリットがあります。

沈埋トンネル工法のメリット

沈埋トンネル工法のメリットとしては、主に以下のようなものがあります。

トンネルの長さを短縮できる

沈埋トンネル工法は設置深度を浅めにできるため、シールド工法や開削工法よりもトンネルの全長を短縮できる点がメリットです。

エリアが限られている環境でも目的の範囲内だけでトンネル設置を進められるため、周辺環境への影響を抑えて作業効率を向上させられます。

トンネル構造の品質を高められる

トンネル構造そのものは施工しやすい地上のドックで製造されるため、水密性や強度に優れた高品質なトンネルを作りやすいこともメリットです。

施工能率が高く工期を短縮できる

沈埋トンネル工法では、分割されたトンネルのパーツを海底で接続することでトンネル設置を進められるため、施工能率を高めて全体の工期を短縮させられることも重要です。

軟弱地盤でも施工できる

沈埋トンネル工法で沈埋函を沈める際、沈埋函には水圧による浮力が働き、地盤そのものへかかる負荷が軽減されます。つまり、トンネル建設部分へ強大な地盤支持力をあらかじめ用意する必要がなく、軟弱地盤へも比較的容易に適用することが可能です。

沈埋トンネル工法によるトンネル工事の流れ

沈埋トンネル工法では大きく以下のような流れでトンネル建設が進められます。

  1. 沈埋函の製作
  2. 海底面の整形・基礎工
  3. 沈埋函の運搬・設置
  4. 埋め戻し・完成

1.沈埋函の製作

トンネルを設置するエリアに地上ドックを構築し、あらかじめ工場で製造したトンネル(沈埋函)の部材をドックで組み立てます。なお沈埋函は鋼鉄製の外殻やコンクリートによって構成されており、水密性や強度を高めていることも重要です。

2.海底面の整形・基礎工

トンネルを設置すべき海底面の形状を整地して、さらに沈埋函を設置するポイントへ基礎石を敷き詰めて基礎工を行います。基礎工を適切に実行することでトンネルの状態を正しく維持できるようになります。

3.沈埋函の運搬・設置

基礎工が完了した後、沈埋函を沈めて海底で各パーツを接続するという工程です。

4.埋め戻し・完成

沈埋函を作業ルートの全てに設置してトンネル構造を構築した後、海底面の整地作業で掘り返した土などを埋め戻して海底の状態を再整備します。これにより海底の中にトンネルが設置され、海底トンネルの構造が完成です。

沈埋トンネル工法の事例

沈埋工法の歴史は古く、一般的には1876年に工法が海外で特許申請され、1885年にオーストラリアのシドニー湾で施工された事例が世界最初とも言われています。ただし本格的な沈埋トンネル工法の事例は1894年のアメリカ・ボストン港で施工された下水管トンネルとも言われており、その後も現在に至るまで世界各国で幅広く利用されてきた工法です。

一方、日本国内では1944年完成(1935年計画)の安治川トンネルが最初の沈埋トンネル工法の事例とされており、戦後の事例としては首都高速羽田線の羽田トンネルにも採用されています。

その他にも東京港臨海道路南北線の建設で沈埋トンネル工法が採用されており、横浜港本牧地区や千葉港市原地区で製造された沈埋函が使われています。

参照元:港湾用語の基礎知識「沈埋トンネル」(国土交通省港湾局計画課事業評価係長 浅井勇麿)(https://www.phaj.or.jp/distribution/lib/basic_knowledge/kiso201905.pdf)

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