電気主任技術者とは電気事業法に基づく国家資格で、電気工作物の工事や維持・運用などの保安監督業務を行います。電気事業法第43条により、電気工作物を設置している会社は電気主任技術者を選任しなければなりません。電気主任技術者は電験一種・電験二種・電験三種に分類され、それぞれ取り扱いできる事業用電気工作物の電圧が異なります。
電気主任技術者の代表的な仕事は、電気設備の保安・点検です。電圧や電流を計測したり配線を確認したり、電気設備の細部までチェック。細かいところまでしっかり確認することは、予期せぬトラブルや事故を防ぐことにつながります。
電気設備に故障や不具合が見つかった場合、中心となって対応するのは電気主任技術者です。不具合の原因を突き止め、故障個所の修理を行います。また必要に応じて、作業を電気工事士などに依頼する場合もあります。
電気工事の現場監督を務めることもあります。工事全体の管理をし、作業員の指示や進捗管理などの業務を行うことが主な役割です。
電気設備はもちろん、電気設備周辺をキレイに保つことも重要な仕事です。電気設備はこりやゴミなどによって重大なトラブルが起こる場合もあるため、周辺まで小まめに清掃しなければなりません。
電気主任技術者の資格を取得するためには、試験合格と認定取得の2つの方法があります。試験は受験資格がないため、年齢・性別・国籍問わず受験することが可能です。畑違いの分野で仕事をしている人にも、資格取得のチャンスがあります。
認定取得は、経済産業省が定めた認定校を卒業し一定の実務経験を積んだ後で申請して資格を取得する方法です。あまりメジャーな方法ではありませんが、試験を受けずに資格を取得できるのは大きなメリットと言えるでしょう。ただし、申請にはさまざまな条件があるので注意が必要です。
電気主任技術者の試験内容は、第一種電気主任技術者・第二種電気主任技術者・第三種電気主任技術者でそれぞれ異なります。電験一種、電験二種は一次試験と二次試験があり、電験三種は一次試験のみです。
一次試験はマークシートによる多肢選択方式で、二次試験は記述方式です。
【一次試験】
【二次試験】
一次試験の結果は科目別に合否が決まり、4科目すべてに合格すれば一次試験の合格となります。ただし、一部の科目だけに合格した場合は科目合格となり、翌年度・翌々年度の試験では申請により免除。つまり、3年間で4科目の試験に合格すれば二次試験の受験資格が得られます。
参照元：一般財団法人電気技術者試験センター
（https://www.shiken.or.jp/examination/e-chief01.html）
一次試験はマークシートによる多肢選択方式で、二次試験は記述方式です。
【一次試験】
【二次試験】
電験一種と同じく一次試験の結果は科目別に合否が決まり、4科目すべてに合格すれば一次試験の合格、一部の科目だけに合格した場合は科目合格となって翌年度・翌々年度の試験では申請により免除となります。
参照元：一般財団法人電気技術者試験センター
（https://www.shiken.or.jp/examination/e-chief02.html）
各科目の解答方式は、マークシートに記入（筆記方式）、またはパソコンで解答（CBT方式）する五肢択一方式です。
【一次試験】
科目別に合否が決まり、4科目すべてに合格すれば第三種電気主任技術者に合格となります。ただし、一部の科目だけに合格した場合は科目合格となり、申請により最大で5回まで連続して当該科目の試験が免除されます。
参照元：一般財団法人電気技術者試験センター
（https://www.shiken.or.jp/examination/e-chief03.html）
電気主任技術者の試験は電気系の資格のなかでは難易度が高く、そのため合格率は低い傾向があります。電験一種と電験二種は15～25％ほどですが、電験三種が最も合格率が低く約5～11％です。
電験三種の試験の内容は暗記と計算問題が出題されるため、参考書を丸暗記するだけでは解けません。特に計算問題が8割を占める科目「理論」の難易度が特に高いです。物理の知識がまったくない方や畑違いの分野から受験に挑戦しようとしている方は長期間の勉強が必要でしょう。
参照元：【PDF】一般財団法人電気技術者試験センター
（https://www.shiken.or.jp/press/denken/kekka/159R4denkenT01kekka.pdf）
電気主任技術者の年収は、電験一種・電験二種・電験三種で異なります。電検三種の平均年収は400万円ほど。電験二種は第三種に比べると給与水準はわずかに高い傾向があります。
一方、電験一種の平均年収は500万円ほどです。電験一種は資格の難易度が高く対応できる業務も幅広いことから、3種の中でも給与水準が高くなっているのでしょう。
参照元：一般財団法人電気技術者試験センター
（https://koujishi.com/denkikouji/66/）
電気主任技術者は、多くの業界で必要とされています。設備関連の仕事だけでなく、発電所や工場、商業施設、ビルなど電気を使用するところであれば、保安業務が必要です。これらの場所が急になくなるわけではないため、仕事がなくなる可能性は低いでしょう。
また、電気主任技術者は土木・建設現場で働くうえで目指したい資格という観点も持っていて、資格を取得することによってさらなるキャリアアップが目指せます。
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