暑中コンクリートは、高温環境での土木工事に適した特別なコンクリートです。このページでは、土木施工管理技士を目指す方に向けて、暑中コンクリートの特徴や施工時の注意点について詳しく解説します。
暑中コンクリートは、高温環境下での施工に適応するため、特別に設計されたコンクリートです。
工事現場の温度が高いと、コンクリートは通常より早く凝結し、乾燥も早く進みます。これは初期強度の発現には役立つものの、長期的な強度が低下する恐れがあり、また過度に早い乾燥は品質の劣化を引き起こす可能性があります。そのため、1日の平均気温が25度を超えるような環境では、高温環境に適した暑中コンクリートを使用することが求められます。
暑中コンクリートでは、凝結の速度を緩やかにする材料や成分を選ぶことが基本となります。
通常のポルトランドセメントが用いられることが多く、必要に応じて低熱型セメントや混合セメントを選定します。また、骨材や水については、直前まで冷却し適温で使用する必要があります。
混和剤としては、遅延型混和剤や高性能AE減水剤が効果的です。これにより、凝結時間を調整し、水分蒸発を抑えることで高温環境でも安定した品質を実現します。また、単位水量や単位セメント量を可能な限り小さくすることで、圧縮強度を確保しつつ、品質の向上を図ります。
暑中コンクリートは、施工中に温度が上がりすぎると、凝結が進みすぎて作業に悪影響を及ぼします。そのため、暑中コンクリートを打設する際は、周囲の温度管理が非常に重要です。特に、直射日光が当たる場所や鉄筋など温度が上昇しやすい部分については、散水や遮光などの対策を講じて温度上昇を防ぐ必要があります。
型枠や地盤についても湿潤状態を保ち、コンクリートの急激な乾燥を防ぐことが求められます。湿潤状態の維持には散水や吸水性シートの利用が一般的です。
打設作業は、練り混ぜから完了までの時間を概ね90分以内に収めることが求められます。作業が長引くと、コンクリートの初期凝結が進みすぎて施工の品質に悪影響を与える可能性があるため、迅速な作業を心がけましょう。
暑中コンクリートの養生は、温度の上昇と乾燥を防ぐことが非常に重要です。コンクリートが直射日光や熱風にさらされると、表面が急激に乾燥し、ひび割れなどの問題を引き起こすことがあります。そのため、打設後はできるだけ早く養生を開始し、コンクリートを適切に保護する必要があります。
養生方法としては、散水保水マットや濡れたシートでコンクリートをカバーし、さらに養生剤を塗布したり、湿砂を散布することが一般的です。養生中も急激な乾燥を防ぐために、コンクリートの表面を常に湿潤状態に保つよう注意します。こうした対策により、コンクリートの品質を維持し、長期的な耐久性を確保することが可能になります。
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