日本人の平均寿命が年々伸びている現代、「60歳で仕事は引退」という常識は消えつつありますが、依然として60歳以上の求人は少ないという現実もあります。そんな中で土木施工管理は、定年後でも働けるのでしょうか?
ここでは、定年でも現場で働くための方法や転職事情などを紹介しています。
「60歳定年制」導入企業は79.3%
厚生労働省の発表した平成29年就労条件総合調査によると、「60歳定年制」を導入している企業は79.3%となっています。約8割の企業が60歳を定年としているのです。つまり、50歳くらいの人を採用しても、ほとんどの企業は10年前後で退職ということになります。
もちろん、組織の人間が入れ替わるのは必然の出来事ですし、体力もあり伸びしろに溢れている年代を採用した方が、企業側のメリットも多いです。 定年の本質はある程度の年齢で管理職を退く「役職定年」ですが、これでは60歳前後の人が安定した収入を得られません。そのため、管理職を外れたら辞めるのではなく、契約社員や業務委託などで長く働ける環境を構築するのが理想といえます。
最近の求人でメインとなるキーワードは、何と言っても「即戦力」です。人間性を重視して「少しずつ活躍してくれればいい」などと悠長に構えている企業は、ほとんどありません。そのため、ブランクが長いというだけで、採用が遠のいてしまうというケースが多いです。
また、シニア世代は長く生きてきた分、1人1人の個性や長所、能力も大きく異なります。さらに家庭を持っている人がほとんどで、ライフスタイルや事情もそれぞれです。一方、新卒の人たちはたいていが独身で、業種や職種も未経験なのである程度融通が利きます。もちろん、若い世代に負けないくらいの体力や専門性を持っているかもしれませんが、「仕事ができる」ことと「仕事がある」ことは似て非なるものなのです。
日本人の平均寿命が伸びていることに対して、政府も高齢者雇用に力を入れてはいるものの、依然としてシニア層の求人は非常に少なく、定年後の転職は決まりにくい傾向にあります。
定年後も働ける職場を探すのには、なるべく早いうちに情報収集を行うのがポイントとなります。理想としては、定年前から動き出すことです。時間と余裕のあるうちに、受け入れてくれそうな会社を探してみましょう。現実の厳しさに直面するかもしれませんが、逆を言えば真剣に取り組む覚悟にも繋がります。
また、転職先を探すにあたり人材紹介会社に登録するのも良いですが、ベストは自分で探すことです。相手に本気度が伝わりますし、率先して動くことで仕事と巡り合う可能性がグッと上がります。
ただ、シニア層を採用したいという企業は増えているものの、そう簡単には見つかりません。万が一転職先が見つからないまま定年を迎えそうなら、再雇用を選択しておきましょう。定年後の失業状態を長引かせるのだけは避けましょう。
転職先を探す時は、職種にも注目してみてください。基本的にデスクワーク系の職種では、シニア層の求人は少ない傾向にあります。一方でシルバー人材センターや運送会社のドライバー、建築業界などの体力を使う仕事の求人は多めです。体力に自信のある人は、このような職種を選択するのも良いでしょう。
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現代におけるほとんどの職業において、パソコンやデジタル機器は必要不可欠となっています。現場代理人や施工管理技士の仕事も同様に、書類の作成や施工図の作成、施主とのメールなどでパソコンの使用は避けて通れないものです。
また、現場の写真撮影はデジタルカメラですし、関係機関とのやりとりではスマホやパッドを使います。
そんなデジタル化が進んでいる職場で、シニア世代の人は老眼で画面がよく見えない、電子機器が扱えないなどのトラブルが多いです。画面から顔を近づけたり遠ざけたり、メガネをかけたりずらしたりしながら仕事をすることになります。目元の疲労は肩こりなどに繋がるため、ただデスクワークをしているだけなのに人一倍疲労感に見舞われるケースも多いです。
デジタル画面が見えない場合、受信したメールや撮影した工事写真、図面などの書類を全て印刷する人もいます。身の周りは紙類で溢れる上、印刷代もかさばるでしょう。見かねた上司が注意しても、「パソコンの画面が見えないんだから仕方ないじゃありませんか」と返されることがほとんどです。
この状況を打破しようと若手社員をサポート係に任命したとして、印刷代は削減されますが、サポート係を付けることで戦力が削がれてしまいます。これもシニア世代を採用した土木施工管理のあるあるです。
先にもお伝えしたとおり、シニア層の求人に力を入れている企業もあるため、人材を募集していないというわけではありません。実際に、年齢関係なく働ける建設会社も存在します。
特に土木施工管理技士の求人は多く、経験豊富で体力的にも申し分ない人材を求めているようです。これまでの経験を活かせれば即戦力として活躍できるため、企業としても「良い人材を雇った」としてあなたの評価も上がります。
老後の資金を稼ぎたい、年齢だけで判断されたくない、若手の育成を行いたいなどの理由は様々ですが、最近では60代の施工管理技士の活躍も目立っているようです。定年後も現役として活躍したい人は、求人をチェックしてみると良いでしょう。
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建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで22年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2024年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2024」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。