土木工事の現場では、地盤の状態に応じてさまざまな工法が使い分けられています。なかでも、日本のように軟弱な地盤が多い地域では、「地盤改良工法」の知識が欠かせません。今回紹介する「サンドマット工法」も、そうした地盤改良のひとつ。特に盛土工事などで使われることが多く、現場でもよく目にする工法です。
この記事では、土木施工管理技士を目指す方に向けて、サンドマット工法の基礎知識や施工手順、実際の現場での使われ方などをわかりやすく解説していきます。
「サンドマット工法」とは、軟弱な地盤の上に砂を敷いて“マット(層)”をつくることで、地盤の安定性を高める工法のこと。「サンド=砂」「マット=層」という名前の通り、砂をマットのように地表面に広げて整えることで、その上に載せる構造物や重機の沈み込みを防ぎ、安定した施工ができる状態をつくり出します。道路や造成地など、上に盛土を行う前の準備として使われることが多く、地盤改良工事の中でも非常に基本的な手法のひとつです。
また、サンドマットは地下水の排水性を高める役割も担っており、地中に設置されるドレーン材(例えばPVDなど)と連携して地盤内の水を抜きやすくする基盤層としても機能します。
軟弱地盤では、そのまま盛土や構造物をのせると、地盤が沈んだり、崩れたりするリスクがあります。サンドマットは、そうしたリスクを抑えるために大切な役割を果たしています。
砂を均一に敷くことで、荷重が一点に集中するのを防ぎます。その結果、地盤が局所的に沈んでしまう「不同沈下」を抑える効果があります。
軟弱地盤は水を多く含んでいるため、盛土の重さによって「圧密沈下」がゆっくりと進行します。サンドマットを敷いておくことで、その進行を穏やかにし、予測しやすくすることができます。
盛土や構造物の荷重が直接かかると、地盤内の水が急激に圧縮され、間隙水圧(かんげきすいあつ)が高くなります。間隙水圧が高まると、地盤のせん断強度が低下し、地すべりや崩壊の原因にもなりかねません。
サンドマットは水が抜けやすいため、間隙水圧の上昇を抑えることができます。
サンドマットは、地盤の水を効率よく排出する“水の通り道”にもなります。ドレーン材(排水材)と組み合わせて使うことで、排水効果がさらに高まり、圧密を早めることも可能です。
サンドマット工法は、工程自体は比較的シンプルですが、その精度や丁寧さによって後続の施工の品質が大きく左右されます。ここでは、一般的な施工の流れと、現場で注意すべきポイントを紹介します。
まずは施工エリアの地表面を平らに整えます。この段階で凹凸が残っていると、サンドマットの厚みが均一にならず、沈下のリスクを高める原因になります。
また、雑草や異物なども取り除き、砂を敷ける状態に整備します。
整地が終わったら、砂を敷いていきます。厚さは現場条件によって異なりますが、一般的には30〜50cm程度が目安です。ここで使用する砂は、なるべく均質で水はけのよいものが選ばれます。
敷きならす際は、バックホウやブルドーザーを用い、所定の厚さになるように高さ管理をしながら作業するのが一般的。必要に応じてレーザーレベルなどで厚さを管理します。厚さにばらつきがあると、排水効果や荷重分散性能が低下し、盛土沈下の偏りや施工ミスの原因になります。
敷設したサンドマットを安定させるため、ローラーやプレートコンパクターを用いて締固めを行います。この工程により、砂の層が沈まなくなり、強度や排水性が安定します。特に軟弱地盤上では、締固めが不十分だと効果が薄れてしまいます。
現場条件によっては、軽く転圧する程度で密度を整えるケースもあります。特に軟弱地盤では、過度な締固めが逆に沈下を誘発することがあるため、締固めの強さや回数は状況に応じて調整する必要があります。
厚さや敷設範囲が設計通りであるかを確認し、後続工事(PVD設置、盛土など)へ引き継ぎます。
サンドマット工法は、日本各地のさまざまな工事現場で使われています。特に、軟弱地盤が広がる地域や、水辺・埋立地のように地盤が不安定な場所では、なくてはならない工法です。ここでは、サンドマット工法がよく採用される代表的な現場をご紹介します。
川の周辺は水を多く含んだ地盤が多く、地盤沈下や液状化のリスクも高いため、堤防の建設時には慎重な地盤対策が求められます。
サンドマットを敷くことで堤防の荷重を分散し、地盤の安定性を確保することができます。
埋立地は元々水域だった場所に土砂などを入れて造成しているため、地盤が非常に軟弱です。
サンドマット工法は、道路や岸壁などの構造物の基礎地盤として使われ、排水性の確保にも効果的です。
住宅地を新たにつくる際、もともと田畑や湿地だった土地を造成するケースがあります。
そのような場所では、建物を支える地盤の強化が必要不可欠。サンドマットを使って下層地盤を安定させることで、将来的な不同沈下のリスクを軽減します。
サンドマット工法は、地盤改良の基本的な手法のひとつとして、実際の土木工事現場で広く使われています。土木施工管理技士試験においても頻出テーマであり、特に「施工管理」や「土工」の分野で毎年のように出題されます。
試験では、「工法の目的(荷重分散・排水促進など)」「他工法との違い(例:サンドドレーンとの比較)」「適用場面(堤防・埋立地・造成地など)」といった点が問われることがあります。さらに、施工手順の流れや使用材料の特性に関する問題が選択肢に含まれることもあるため、あわせて理解しておくことが重要です。
1級の技術検定では、実務経験論文を書く機会もあります。現場でサンドマット工法を採用した経験がある場合は、その選定理由や施工方法、効果、課題などを整理しておくと、論文対策にもつながるでしょう。
また、サンドマット工法は他の地盤改良工法と組み合わせて使われることが多いため、「複合工法の選定・管理」についての理解も深めておくのがおすすめです。
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