トンネル工事に携わることのある土木施工管理技士としては、現場の条件や環境に適する方法で工事を進めていくために、さまざまな工法に対する理解を深めておく必要があります。こちらでは、トンネル工事で採用されることがある「山岳工法」について紹介しています。工法の特徴や施工手順などをみていきましょう。
山地部の岩盤に道路トンネルをつくる工事でおこなわれることが多い工法です。複数ある山岳工法のうち、現在主流となっているのは、NATM(New Austrian Tunnelling Method)という工法です。この工法は、リニア中央新幹線のトンネル工事でも採用されています。
トンネルを横方向へ掘り進めつつ、鉄製の枠や吹きつけコンクリートで地山を支えるのが、山岳方法でトンネルを通すときの方法です。仕上げにコンクリートを使って固めていきいます。
シールドやTBMなどではなく、人力や機械によって掘削作業を実施する山岳工法。山地での工事に向いている工法だといえます。山岳工法の主なメリットとしては、次のようなものがあげられます。
山岳工法における、一般的な施工手順の流れについてみていきましょう。
ロッドとよばれる細長い鉄棒の先端に、専用器具(ビット)を設置します。そして、打撃・回転を与えつつ1〜2メートル程度の深さがある穴を80〜100本掘ります。その際、山の強度を考慮して穴の深さおよび本数を調整していくことも忘れないようにしましょう。
また、余計な穴を増やさないよう注意が必要です。そのために、あらかじめ詳細にわたる計画をたてておくことが大切です。綿密な計画は、工期の短縮にもつながります。
穴に爆薬を詰め込む作業です。この作業は「装薬」と呼ばれます。使用する爆薬の種類にもよりますが、装薬方法は次のとおりです。まず、込め棒という細長い棒で爆薬を定位置まで押し込みます。その次に粘土状の詰め物を使って穴をしっかりと塞ぎます。
装薬作業の対象となる岩石は不均一であり、しかも場所ごとに条件もさまざまです。ですから、爆薬の選定や取り扱いには細心の注意が求められます。かつてはこの作業は人がおこなっていましたが、大きな危険をともなう作業であるため、現在では機械を遠隔操作して実施する方法も開発されています。
砕けた岩から発生するズリと呼ばれる小さな岩や石などを坑外へ運び出します。「ズリ出し」とよばれる作業です。たいていの場合、そのためのかき出し作業はホイールローダーで、そしてズリを運び出す作業はダンプトラックで、それぞれおこなわれます。コンディションによっては、連続ベルトコンベアやトロッコなどが使用されることもあります。
そして、トンネルの壁の強度をアップするための重要な作業が、吹き付けロボットによるコンクリート吹き付けです。ちなみに、このときに使用するコンクリートは、ミキサー車でトンネル内部へと運搬されます。
山自体にそなわっている耐荷力を利用して山を支持するのに用いるロックボルト。トンネル掘削後に、すみやかに岩盤を穿孔し、そこに挿入します。トンネルの支保工のためのアイテムです。補強硬化や吊下げ効果、はり形成効果などがあると考えられています。
地中から浸み出てくる地下水などがトンネル内へ漏水してしまう事態を回避するために、防水シートを取り付け、さらに、セントルという半円筒形のトンネル用型枠でコンクリートの壁を仕上げていく必要があります。コンクリートの打ち込み作業をおこなう際には、専用の移動足場などのアイテムを使用します。
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