ここでは、下水道工事の工法と流れについて詳しく解説していきます。
下水工事とは、生活排水・産業排水・農業排水などを公共下水管へ流す工事のことです。排水を可能にして、排水処理場まで繋げます。排水処理場では、汚水を処理してから河川に放流します。
排水処理後に放流しないと、特定の植物プランクトンが増殖して、魚介類やプランクトンが死滅し水質汚濁の要因に。また、汚染された水により、水系感染症が蔓延することが懸念されるため、汚水を受ける管である枝線の工事を実施する必要があります。
下水道法第1条においても、「公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質保全に資することを目的とする。」※1と定められています。
参照元:e-GOV法令検索
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334CO0000000147)
下水道工事で使用する工法は、大きく分けて3つあります。開削工法・推進工法・シールド工法です。1つ目の開削工法では、重機で掘削し勾配を設けて、汚水が流れるように下水道管を設置して土砂を埋め戻します。一般的な工法で、下水道工事でよく使用される工法だといえるでしょう。
続いて2つ目の推進工法は、下水道管を設置する場所に障害物がある場合に用いる工法です。難易度が高い場所での下水道工事に用いられます。最後に3つ目のシールド工法は、下水道管を設置する距離が長い場合に使われる工法です。下水道管が大口径になる際にも同様に用いられています。
開削工法は、地表から浅い場所を掘削する際に用いられる工法です。地下埋設物が支障にならない場合に選ばれる、標準的な工法だといえます。
一方で、推進工法は下水道管の先に掘進機を取り付けて、ジャッキの遠心力を使って地中に管を入れていく工法です。地表から深い場所に設置できる方法で、下水道管を直接押して敷設していくので、掘進が完了すると同時に設置が完了します。
シールド工法も推進工法と同様に、掘進機をジャッキの遠心力で押し込んでいく工法です。しかし、ジャッキの取り付け位置が異なるほか、下水道管を掘進機に取り付けるわけではないため、掘進が完了した後にコンクリートで仕上げる必要があります。
シールド工法と推進工法のどちらを採用しても問題ない現場では、仕上げ作業が必要ない推進工法が用いられるケースが多いでしょう。
開削工法では、下水道管を敷設する箇所の舗装を切断して取り壊し、埋設する深さまで掘削していきます。その後、所定の位置に下水道管・マンホールを設置して、液状化しにくい土で埋め戻し、舗装を復旧したら下水道工事は完了です。
推進工法では、発進立坑にジャッキと送排泥ポンプを設置した後、掘進機を吊り下げてジャッキにセットします。掘進機を回転させてジャッキを押し込む方向を決めたら、下水道管(推進管)を吊り下げてジャッキに取り付けます。
掘進機を回転させて土砂を取り込みつつ、ジャッキで下水道管を押し込みさらに掘進。繰り返して敷設したら、次の下水道管を取り付けて、また同じように掘進して押し込む作業を行います。施工距離が長くなるにつれて推進抵抗が増えるため、約1kmまでの下水道工事に用いられるケースが多いでしょう。
シールド工法では、掘進機をジャッキで押し込み、トンネルをつくります。掘進していく際にリング状のセグメントを組立てていき、推進抵抗を受け止められる土台を構築。掘進とセグメントの組立てを繰り返していくことで、約9kmまで施工延長できます。掘進完了後はコンクリートによる仕上げが必要ですが、セグメントにより仕上げが要らないケースもあります。
下水道工事は、現地調査や設計、近隣住民への説明会を経てから工事に着手します。工事費用を計算してから工事業者が決まるまでに時間がかかるうえに、公共汚水桝の申請や完了検査など、供用までには時間がかかります。また、事前に下水道法第9条に規定される「共用開始の告示」が必要なため、単純工事でも3~5日、大規模工事では7~10日程度かかるでしょう。
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