都市の緑地保全や緑化推進などを目的とする都市緑地法。この法律が指定する地域で工事をおこなうには、設けられている制限をあらかじめ把握しておく必要があります。こちらの記事では、都市緑地法の意義や法律の対象となっている地域、そして違反してしまった場合に科せられるペナルティーなどについて解説しています。
都市環境を良好に形成し、かつ、文化的な都市生活を確保できるようにするために制定された法律です。ちなみに、都市緑地法における「緑地」が意味するのは、樹林地・草地・水辺地といったたぐいの土地が、単独あるいは一体となっている土地のことです。
都市部にある緑地は、都市環境や景観を良好にするだけでなく、防災やレクリエーションなど、複数の役割を持つと考えられています。さらに、緑地はヒートアイランド現象の軽減や生物多様性の保全などにつながる機能も有していることが認識され始めています。
都市緑地法では、次にあげるような、工事をする際に許可をとらなくてはならない地域が指定されています。
無秩序なかたちで市街化が進んでしまうことを防止したり、災害が発生するのを抑制したりするために、緑地の保全が必要であるとされる地域を、緑地保全地域といいます。加えて、地域住民が健全な生活環境において日々を暮らしていくことができるようにするためにも、保全が欠かせないとされる地域でもあります。
緑地の保全を推進すべき地域のうち、次のような場所が特別緑地保全地区に該当します。
公園などの施設を増加するなどして、緑化を推進していくことが難しい都市部もあります。その対応策として、緑地面積を建物の敷地内で増やしていこうとする地域のことを、緑化地域といいます。この地域内では、達成すべき緑化率の最低限度が定められています。ですので、一定以上の規模がある建設工事をおこなうときには、あらかじめ、定められている緑化率を把握しておくことが大切です。
相当規模の土地・道路などの所有者を対象とした協定です。都市計画区域や準都市計画区域の良好な環境を確保することがこの協定の目的です。締結に際しては、該当する土地の全員の合意が必要です。
違反行為に対して最初になされる指導が、是正勧告です。勧告を受けても是正されないときには、是正命令や立ち入り検査などがおこなわれます。是正命令に違反すると、罰金や懲役などが科せられるので、注意しましょう。
次のような場合には、30万円以下の罰金刑が科せられる可能性があります。
内容に応じて「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」あるいは「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。
都市部における緑地の保全、そして緑化の推進について定めた都市緑地法。健全かつ文化的な暮らしを守るためのものですから、指定地域内で土木・建設工事をおこなう際には、定められた事項を遵守しなくてはなりません。工事の施行を管理する立場にある土木施工管理技士としては、都市緑地法に関する知識を身に付けておきたいところです。
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