ここでは、基本的な測量技術のひとつとして知られるトラバース測量についてまとめています。トラバース測量の種類や計算方法、そして計算方法についてみていきましょう。また、測量をおこなう際に必要な機械・機器であるトータルステーションやトランジットなどについても、あわせて紹介しています。
座標・距離・角度・高さなどを計算によって導き出す測量方法で、さまざまな測量技術の中では、基本的な部類に属します。算出したデータをもとに事業計画を立てていくことができます。作図を作製するのに必要不可欠です。また、建築現場では、「基準点測量」という名称で呼ばれています。
基準となるある一点から、測量によって得られた測点を順番通りに結合し、折れ線をつくっていきます。北を基準とした場合に、各辺がどの方向を示しているか、ということをあらわす方位角と、各辺の長さとを求めて、それぞれの点の位置を定めるのが、トラバース測量の方法です。
必要とされる対象を測量するために、基準点に機器を設置します。ちなみに「基準点」とは、機器を設置するためにあらかじめ測量された点のことで、国内においては国際基準点である「三角点」がそれぞれの地域に設けられています。
トラバース測量の作業には、「結合トラバース測量」「開放トラバース測量」「閉合トラバース測量」の3種類があります。それぞれの測量方法や特徴は次のとおりです。
上述の「基準点」のうち、最初の基準点を出発して、ラストの測点、他の基準点に結合するのが、結合トラバース測量の特徴です。
トラバース測量との場合と異なり、開放トラバース測量は、基準点を出発して、最後の測点が他のどの基準点とも結合しないという特徴があります。簡易的な測量方法であるといえるので、測量作業をスピーディーに進めやすいというメリットがあります。ただ、精度の高さという点においては、やや劣る測量方法だといえます。
最初の基準点と、最後の点を同じ個所に設定するのが、閉合トラバース測量方法の特徴です。複数の箇所を測量しした後、もとの点に戻るとなると、どうしても途中で誤差が生じてしまうものです。中には人為的なミスも含まれるでしょう。
けれども、この測量方法においても「閉合」という言葉が意味するとおり、最初の基準点と最後の点が同じになるように試みます。できるだけ誤差を小さくするためには、一定のスキルが必要です。ちなみに、誤差をあらわす「閉合比」が2,500分の1ミリ程度であれば、精度は充分であると考えてよいでしょう。
トラバース測量で算出できるのは、局所的な座標です。平面図や計算書の作成、そして面積の算出などの作業が、その座標をもとにしておこなわれます。
求めたい点の座標を知るには、観測点において方位角と距離の両方を計測する必要があります。観測点を原点とし、x軸・y軸を用いた局所的な座標系で表します。x軸が北方向、そしてy軸が東方向です。また、x座標を緯距、そしてy座標を経距とします。計算式は、∆x = r cos θ、∆y = r sin θ、この2つを{でくくります。
レベル、プリズム、トランジット、トータルステーションなどの機器を使用します。トータルステーションは、「光波測距器」という名称で呼ばれる場合もあります。
トータルステーションにこのような別名があるのは、この機器が、光波を使って「高さ」「角度」「距離」を測量することができるからです。トランジットという機器も、トータルステーションとほぼ同じといってもよい役割をもつ機器ですが、こちらは光波を使用することはできません。また、レベルという機器は、高さを測量するために用いられます。
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