土木施工管理技士が携わる工事は、比較的規模が大きいのが特徴です。規模が大きい事業の多くは、主に公共工事に該当します。公共工事と民間工事は何が違うのでしょうか?ここでは公共工事の種類や民間工事との違いを紹介します。
公共工事は、建設業法第27条23項(※)によって定められています。簡単にまとめると、国や都道府県、市町村など、行政が発注者となる工事です。
行政が発注する仕事なので、地域のインフラ工事がメイン。みんなが利用できる公益性が高い事業です。
工事1件の請負金額が500万円以上などの決まりがあります。そして、公共工事は、税金から支払われることが大きな特徴です。
公共工事と民間工事の違いは、発注者です。発注者が行政機関であれば公共工事、民間であれば民間工事という区別で問題ないでしょう。
民間工事は、一般の企業や個人が発注者となります。オフィスビルの建築や住宅の設備、商業施設の建築など、様々な業務があります。
公共工事は公益性が高く、民間工事は利益を生み出すためか私的利用がメイン。建築物の目的にも違いがあります。また、民間工事は見積もりを出して契約を締結するのが一般的。公共工事では競争入札が実施されることが多いという違いもあります。
公共工事の内容は、大きく「土木工事」「建築工事」「管工事」「電気工事」「造園工事」の5種類に区別できます。それぞれどのような工事なのかを確認していきましょう。
道路や橋などを造る、下水道の配管工事などが土木工事です。端的に伝えると、「建物を除いた」建設工事が土木工事に区分されます。ダムの建設も土木工事です。地面の下を担当する工事とイメージしても分かりやすいかもしれません。土木工事の工程は、「基礎工事」「造成工事」「外構工事」で成り立ちます。
建設工事は、土木工事と建築工事に分けられ、建築工事は建物を造る工事です。マンションやアパート、ビル、商業施設など、建物本体を造る工事が建築工事。土木工事が地面の下担当と言われるのに対して、建築工事は上物担当と言われています。
「管」を対象にした工事です。水洗トイレやキッチン、ガスの配管などに関する工事を行います。代表的な管工事は、給排水工事・衛生設備工事・ダクト工事・空調設備工事・ガス管配管工事・冷凍冷蔵設備工事・厨房設備工事・浄化槽工事です。私たちの生活に不可欠な工事と言えるでしょう。新築の建物を建設するとき、配管は床下や基礎上などを通すため、建物工事の日程とあわせて同時進行で行います。
電気関連を担うのは、電気工事です。送電設備・配電設備の設置やメンテナンスを行います。電気も管工事と同様に生活に欠かせない工事です。施設内の電気だけではなく、街灯などの照明設備や信号設備も電気工事に含まれます。
電気工事は、法律によって、電気工事士の有資格者が行わなければならない範囲が決められているのが特徴です。違反すると罰則があります。
公園や広場の植栽を整備するのが造園工事。近年は、地球温暖化等の問題から環境対策として、緑化の動きが活発です。公共工事として造園工事の発注も増えています。
造園工事には、樹木を植える植栽工事、芝生やコケを植える地被工事、景石工事、伐採後の枝や雑草などの片づけ・整備を行う地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事などがあります。
公共工事は、私たちの生活を支える大切な工事です。単に生活に必要というだけではなく、実は公共工事によって重要な効果がもたらされます。公共工事の重要性を確認しておきましょう。
公共事業の重要性のひとつにインフラストック効果があります。インフラが整備されることによる社会的効果のことです。
公共工事で道路が作られ、トンネルでアクセスが向上し、物流がスムーズになれば、新しく工場が建設されるかもしれません。大型の商業施設が建てられ人流が増える可能性は高いです。
アクセスが良く、活気がある町には、人も集まります。遊びに来る人や移住者が増え、住民の満足度も上がるでしょう。「インフラを整えて町おこし」などはインフラストック効果を狙った施策と言えます。
インフラフロー効果も見逃せません。インフラフロー効果は、公共工事による雇用創出効果です。公共工事は規模が大きく、人手が多くかかります。従来のスタッフだけでは手が回らないため、求人を出すでしょう。公共事業によって働き口が見つかり、収入が増える人が多ければ、経済も活性化されます。雇用創出は、公共事業の重要な役目のひとつです。
企業として公共工事を請け負うメリットにはどのようなものがあるでしょうか。
公共工事そのものからは、利益が得られます。大規模のものも多いため、公共工事を請け負っただけでも売り上げが大きく増大するかもしれません。
利益ももちろん大切ですが、公共工事を請け負う大きなメリットに、信用構築があります。公共工事を請け負った実績があれば、信用してもらいやすいでしょう。また、売上が上がることによって、銀行から経営状況の信用も得られます。信用構築には時間がかかるものですが、公共工事を請けることでショートカットできるのは大きなメリットと考えられるのではないでしょうか。
公共工事は、入札が行われるのが一般的です。発注側と受注側の流れを簡単に紹介します。
公共工事を発注する行政側の流れは、企画を立て、設計し、積算で予算を立て、入札を実施します。受注者が決まれば発注して、完成後の引き渡しを受けるまでが一連の流れです。
公共工事は、一般的に競争入札で受注します。入札して落札に成功すれば、受注して施工、完成物を引き渡しするという流れです。
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