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プレロード工法(プレローディング工法)

軟弱地盤の上に構造物を建てる場合、「地盤が沈下してしまうリスク」をどう抑えるかが大きな課題になります。特に日本のように水分を多く含んだ地盤が多い地域では、地盤改良の工夫なしに安全な施工を行うことは難しいといっても過言ではありません。

そんなときに活躍するのが「プレロード工法」。これは、構造物をつくる前に“あえて重みをかけて地盤を沈ませておく”工法です。この記事では、土木施工管理技士を目指す方に向けて、プレロード工法のしくみや効果、施工手順をわかりやすく解説していきます。

プレロード工法(プレローディング工法)とは?

プレロード工法とは、軟弱地盤の沈下を事前に促しておくことで、将来的な沈下トラブルを防ぐための地盤改良工法のこと。「プレロード工法」や「載荷盛土工法」と呼ばれることもあります。

「プレ(事前に)」+「ロード(荷重)」の名前の通り、構造物をつくる前に、あえて重たい盛土や仮の重りを載せて地盤に沈下を起こさせます。

プレロード工法の目的

プレロード工法が採用されるのは、軟弱地盤での“完成後の沈下トラブル”を防ぐためです。

① 圧密沈下を事前に終わらせる

地盤にあらかじめ重り(盛土など)をのせることで、間隙水(かんげきすい)を地盤の外へ押し出し、圧密沈下を強制的に起こさせるのがプレロード工法の核心です。

構造物を完成させてから圧密が始まると、建物の傾きやクラック(ひび割れ)といった問題が発生しかねません。ですが、先に荷重を加えておけば、工事完了後の沈下はごくわずかに抑えられます。

② 地盤の強度が向上する

地盤内の水が抜けて土粒子同士の間隔が詰まると、せん断強度(すべりにくさ)や支持力(荷重を支える力)も向上します。これにより、構造物の安全性が高まり、設計に余裕を持たせることができます。

③ 施工後の維持管理コストを抑えられる

完成後に沈下が起こると、補修や調整のために追加工事が必要になることがあります。

プレロード工法であらかじめ沈下を終わらせておけば、そうした後からの対処が不要になるため、トータルコストの削減にもつながります。

ほかの工法と組み合わせることも多い

プレロード工法は単独で使われることもありますが、サンドマット工法やPVD工法などと組み合わせて使われることも多いです。

たとえば、PVD工法で地中に排水路をつくり、プレロードで水を押し出すように荷重を加えると、より短期間で圧密が進行します。

プレロード工法の施工手順

プレロード工法は、構造物をつくる前に「仮の荷重」を載せて、地盤を沈ませておく工法です。シンプルなしくみではありますが、圧密が計画通りに進むように管理することが重要です。ここでは、一般的な施工の流れを紹介します。

ステップ1.サンドマットの敷設

まず最初に、施工範囲にサンドマット(排水層)を敷きならします。これは、地盤から排出された水を効率よく地表に集めるための層で、排水性のよい砂を30〜50cm程度の厚みで敷設します。サンドマットがあることで、地盤から抜けた水がスムーズに流れ出せる環境が整います。

ステップ2.PVDなどの排水材を挿入(必要に応じて)

軟弱層が厚い場合には、PVD工法やサンドドレーン工法などで“縦方向の排水路”をあらかじめ確保しておきます。これにより、水が横だけでなく縦にも抜けるようになり、圧密が早く進むようになります。

ステップ3.盛土や仮載荷による加重

所定の高さまで盛土を行い、仮の荷重を地盤に加えます。この「重み」がプレロードの主役です。載荷の方法は次のようなものがあります。

  • 盛土(砂・粘土・砕石などを積む)
  • 水タンク、コンクリートブロック、大型土のうなど

荷重の大きさや載せる期間は、圧密計算に基づいて設計されるため、現場ごとに異なります。

ステップ4.圧密状況の監視と判定

荷重をかけた状態で数週間〜数ヶ月待ち、地盤の沈下量や間隙水圧の変化を計測しながら、圧密の進行をチェックします。一定の圧密量に達したと判断できたら、プレロードは完了となります。

ステップ5.荷重の除去・整地・本工事へ

仮の荷重を取り除き、地表を整地した後に本来の構造物の建設工事を開始します。この時点では、地盤の大きな沈下はすでに終わっているため、完成後の不同沈下リスクを大きく減らすことができます。

プレロード工法が活用される現場例

プレロード工法は、広範囲にわたる軟弱地盤を対象に、将来的な沈下トラブルを防ぐための対策としてよく使われます。特に、構造物にとって不同沈下(部分的な沈み込み)が致命的な影響を与えるような施設では、積極的に採用されます。プレロード工法が活用される代表的な現場例をまとめました。

空港や港湾の滑走路・埠頭

空港や港湾などは、埋立地や軟弱地盤に建設されることが多く、滑走路や岸壁などの構造物が均一な支持力と高い安定性を必要とします。このような現場では、PVD工法やサンドマット工法と併用しながらプレロード工法が採用されることが一般的です。

大型造成地(工業団地・宅地開発)

工業団地や宅地を新たに造成する際、もともと田畑や低湿地だった土地では軟弱地盤の対策が不可欠です。完成後に沈下が起こると建物の基礎やインフラに影響するため、プレロード工法であらかじめ地盤を沈ませておくことでリスクを軽減します。

幹線道路・鉄道の盛土工事

線状構造物である道路や鉄道では、地盤条件が区間ごとに異なるため、沈下のばらつきを抑えることがとても重要です。特に盛土区間では、圧密沈下が施工後に続くと路面の段差や亀裂の原因になってしまうため、プレロード工法であらかじめ地盤を落ち着かせておきます。

堤防・護岸・河川構造物

水辺に近い場所では、長期にわたり水を含んでいた土がゆるくなっていることが多く、堤防などの安全性確保が課題になります。プレロード工法で地盤を密に締めてから構造物を築くことで、浸透や変形に強い基礎地盤をつくることができます。

プレロード工法の出題傾向と試験対策のポイント

プレロード工法は、土木施工管理技士の試験対策としても押さえておきたい重要な工法です。特に、地盤改良や施工管理に関する出題でよく登場します。

学科試験では、次のような観点で出題されることがあります。

  • 圧密沈下対策としての目的
  • 荷重をかける理由とその効果
  • PVD工法やサンドマット工法との併用
  • 圧密促進の管理方法(沈下量や載荷期間の判断)
  • 実際に適用される地盤条件や構造物の種類

ただ用語を覚えるだけでなく、工法のしくみと役割を“他工法と比較しながら理解”しておくことがポイントです。

また、1級土木施工管理技士の実地試験では、実際に関わった工事の経験を論文形式で記述する課題があります。プレロード工法を使った現場経験がある場合は、以下のようなポイントが盛り込めます。

  • 工法を選定した理由(地盤条件や構造物の要求性能)
  • プレロードの盛土計画と載荷期間
  • 圧密の進行をどのように管理したか(沈下計測・水圧管理)
  • 他工法との併用や施工上の工夫

こうした記述は、実務経験に基づいた技術的な判断力をアピールできる絶好の機会です。

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