こちらでは、軟弱な地盤を改善するためにおこなわれる「押え盛土工法」を解説しています。多くのメリットがある押え盛土工法の特徴についてまとめました。加えて、施工手順や工事における注意点などもあわせて紹介しています。建設工事や土木工事の知識を整理するために、ぜひ参考にしてみてください。
軟弱地盤対策のひとつとして採用されることがある工法です。地すべりが発生するリスクが高いと考えられる斜面本体の側面に、押え盛土工法や緩斜面工法などを施します。そうすることで、地すべりに対する抵抗を高めることができるのです。
また、押え盛土工法は、実際に地滑りが発生してしまったあとの処置として採用されるケースもあります。例えば、河川堤防の応急対策や復旧対策として実施されます。
押え盛土工法のおもな特徴として、次のようなものがあげられます。メリットの多い工法であることがわかります。
上述の繰り返しになりますが、押え盛土工法は、すでに地滑りが起こってしまったところを応急的に処置するための工法として、広くおこなわれています。そのおもな理由としてあげられるのは、施工に特別な材料を用意する必要がないことです。土を使う工事なので、作業が進みやすく、早急に抵抗力を現場に付加しやすいのです。
応急的な処置に適した工法ではありますが、用地面積には一定以上の広さが必要となるため、その点には注意が必要です。地滑り工事において押え盛土工法の効果をしっかりと発揮させるには、広い用地面積が欠かせません。たとえば、工事をおこなう斜面と河川・住宅との間に充分な距離がないと、工事をおこなうのは困難です。その場合は、押え盛土工法以外の工法を採用することになります。
軟弱な地盤に適した工法です。頑丈さに欠ける表層地盤を、強固な表層地盤にすることが可能です。特に、雨水に強い材料を使って施工すると、工事の効果をより発揮しやすくなります。雨水に強い土としては、礫質土や砂質土などがおもな例としてあげられます。水に浸食されにくい性質があり、盛土作業終了後の敷均や締固め作業を、進めやすくなります。
工事をスタートする前に、まずは木の根や落ち葉などの異物を取り除いておきます。そのままにして盛り土作業を進めてしまうと、中で腐植して、盛土全体がゆるんでしまう可能性があります。
工事に使用する土を搬入します。礫や礫質土、砂、砂質土などが適しています。シルトや粘性土、火山灰粘性土などは避けるようにしましょう。
盛土をした後は、ブルドーザーなどを使って「敷均し」をおこない、均一になるように仕上げていきます。さらに、締固めをして、水の浸食に備えます。
押え盛土工法を実施する場合には、次のようなリスクを把握しておくことが大切です。
雨などにより、盛り土の内部に地下水がたまると、さまざまなトラブルを引き起こす原因となります。盛土が地下水と一緒に流れ出てきてしまったり、あるいは盛り土自体が崩壊してしまったりするリスクが高まります。
そういった状態に陥らないようにするには、工事の際に、押え盛土工法に適した土を使用することが大切です。地下水がたまりにくい材料をしっかりと選定するようにしましょう。
地すべりが発生しにくくなるようにするための工事ですが、実際には、工事をすることで地すべりを助長してしまう可能性もゼロではありません。これは、使用する材料が土であることが原因となっています。簡単にいうと「土で盛り土するだけ」の工事ですので、脆弱性について理解しておく必要があります。
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