ジャンカ(豆板)は、打設したコンクリートの一部でセメントペーストやモルタルが十分に充填されず、粗骨材が集中して空隙が多くなった不良部分を指します。
その表面には凹みが生じ、粗骨材が露出する状態になるのが特徴です。ひどい場合には、粗骨材を叩くとバラバラに崩れ落ち、内部の鉄筋が露出することもあります。
ジャンカが発生すると、コンクリートの強度が低下するだけでなく、鉄筋を保護するかぶりコンクリートが不足するため、中性化が進みやすくなります。これにより鉄筋の腐食が進行し、構造物全体の耐久性や安全性が損なわれる可能性があります。
ジャンカは主に「材料の分離」と「締め固め不足」が原因で発生します。これらは施工時の流動性や環境条件、作業方法に深く関連しており、それぞれが複雑に絡み合うことでジャンカのリスクが高まります。
コンクリートはセメント、水、細骨材(砂)、粗骨材(砂利)から構成されますが、これらの密度が異なるため、施工時の振動や流動によって分離が起こりやすくなります。重い粗骨材が沈み、軽いセメントペーストが浮き上がることで特定箇所に粗骨材が集中し、ジャンカが生じます。
特に薄い壁や鉄筋が密集している部分では、均一な充填が難しく、分離のリスクが高まります。また、型枠の継ぎ目や隙間からモルタルが漏れる場合も粗骨材が露出し、ジャンカの原因となります。
コンクリート打設後の締め固め作業が不十分だと、材料が偏り、空隙が残ることでジャンカが発生します。振動機の使用が適切でない場合や、鉄筋や配管が多い箇所で流動が妨げられる場合に発生しやすいです。
また、高所からコンクリートを打設すると粗骨材が下部に集中し、締め固め不足を招く原因になります。
ジャンカを防ぐためには、適切な材料の選定、施工方法の工夫、十分な締め固めが重要です。以下に具体的な対策を示します。
材料分離を防ぐには、コンクリートを型枠内で過度に流動させないことが基本です。型枠の継ぎ目や隙間を事前に点検し、モルタルが漏れないようにすることも重要です。
また、落差が大きい箇所では、あらかじめモルタルを少量打設して粗骨材の集中を防ぐ工夫が効果的です。さらに、スランプ値を適切に調整して、流動性が高すぎるコンクリートの使用を避けることも必要です。
締め固めは、コンクリートの均質性を保つために欠かせません。振動機を正しく使用し、挿入間隔を50cm以下にするなど、適切な方法で作業を進めます。特に鉄筋が多い箇所では型枠振動機を活用し、均一な締め固めを行うことが効果的です。
また、高流動コンクリートを使用すれば、複雑な形状の構造物や鉄筋密度が高い箇所でも均質な充填が可能となり、ジャンカ防止に役立ちます。
コンクリートの配合を適切に調整し、施工性を向上させることも重要です。セメント量を増やして流動性を高めると、打設が容易になりますが、過剰なセメント使用はコスト増加や強度低下を招く恐れがあるため注意が必要です。施工箇所の条件に応じて最適な配合を選定することが求められます。
ジャンカ(豆板)は、施工時の材料分離や締め固め不足が原因で発生し、コンクリート構造物の耐久性や安全性に重大な影響を与える可能性があります。これを防ぐには、材料の適切な選定、施工手順の見直し、締め固め技術の徹底が重要です。
施工環境や条件に応じた工夫を取り入れることで、ジャンカの発生リスクを大幅に低減できます。丁寧な施工を心がけることで、高品質で安全なコンクリート構造物を実現しましょう。
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