バイブロフローテーション工法は、振動と注水を組み合わせて砂地盤を締め固め、地盤の密度を高めることで支持力を向上させる工法です。特に、液状化対策や埋立地での大型構造物の基礎工事など、広範囲の地盤改良が必要とされる現場で多く採用されています。
この記事では、土木施工管理技士を目指す方に向けて、バイブロフローテーション工法の特徴や施工の流れ、試験で問われやすいポイントをわかりやすく解説していきます。
バイブロフローテーション工法は、「バイブロフロット」と呼ばれる専用の振動機を地中に挿入し、振動と注水の力を利用して砂質地盤を締固める地盤改良工法です。
セメントや石灰などの固結材を用いて地盤を「固める」工法とは異なり、物理的な締固めによって地盤の密度を高め、支持力を向上させるという点が大きな特徴です。そのため、粒径がそろっていて締まりやすい砂質地盤に適しており、一方で粘性土や有機質土のように水分を多く含み流動性の高い地盤には適用が難しいとされています。
またこの工法は、地盤の密度を高めることで液状化の発生を抑制できるため、震災後の防災対策や、インフラ構造物の耐震補強工事などでも広く活用されています。
バイブロフローテーション工法は、バイブロフロートという専用機械を用いて、下から上へ向かって締固めを行うという特徴的な施工方法です。ここでは、一般的な施工の流れを紹介します。
設計図に基づき、締固めを行うポイントにバイブロフロートを垂直に設置します。フロート本体には注水ノズルが内蔵されており、振動と注水の力で地盤への貫入抵抗を低減しながら、ゆっくりと地中へ挿入していきます。
バイブロフロートを設計深度までゆっくりと貫入させます。この過程で、振動と注水によって土粒子が再配置され、空隙率が減少します。同時に、地盤の自然排水と密実化が進行していきます。
設計に応じて、バイブロフロートの周囲に砂や砕石などの充填材を投入しながら締固めを行うことがあります。この充填材が地盤に圧入されることで、周囲の地盤はより高密度に締め固められ、安定性が向上します。
締固めが完了したら、バイブロフロートをゆっくりと引き抜きます。その後、沈下量や地盤密度、施工効果に関する品質確認試験を行い、改良の効果を評価します。
バイブロフローテーション工法は、セメントや石灰などの固結材を用いないため、材料配合の複雑さは少ない一方で、振動・注砂・密度といった“動きそのもの”の管理が求められる工法です。施工管理技士としては、施工の工程そのものをいかに安定させ、結果として地盤改良の品質を担保するかという視点が重要になります。
ここでは、現場で特に意識したい管理ポイントを整理します。
地盤の締固め効果は、どれだけの量の砂が注入されたか(注砂量)によって大きく左右されます。注砂量が不足すると、改良径や密度が十分に確保できず、結果として沈下や強度不足といった問題につながるリスクがあります。
そのため、施工中は以下の点を意識する必要があります。
これらを確認しながら、1本ごとの施工記録を確実に残すことが基本です。
バイブロフローテーション工法は振動を利用する改良方法であるため、周辺環境への影響(振動・騒音・地盤の緩み)には十分な配慮が必要です。施工管理技士としては以下のような対応が求められます。
これらは品質だけでなく、安全性や地域との信頼関係の維持にも関わる重要な管理項目です。
施工後には、必要に応じて改良体の密度や支持力(例:標準貫入試験など)を確認する工程も発生します。特に、地下構造物など“目に見えない部分”の品質こそ、記録とデータによって確実に証明する意識が求められます。
品質確認の一環として、以下のような対応が行われます。
記録の信頼性がそのまま改良効果の裏づけとなるため、“見えない品質”を見える化する視点が施工管理技士には不可欠です。
バイブロフローテーション工法は、地盤改良分野における代表的な「締固め工法」のひとつとして、1級・2級土木施工管理技士試験においても出題される可能性のある工法です。
特に学科試験では、以下のような観点から問われることが多く見られます。
選択問題では、「この工法の特徴として適切なものはどれか?」といった形式で出題されることが多いため、【対象地盤・施工方法・目的】の3点セットで整理し、言葉で説明できるレベルで理解しておくと安心です。
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