こちらのページでは、施工管理技士の不正取得について解説しています。どのような手段で不正がおこなわれていたのか、そして不正が明るみになった場合にどうなるのか、そしてそもそも不正が起こってしまう原因となっているものはなんなのか、といった点についてみていきましょう。
施工管理技士の資格試験は、国家資格のひとつです。受験をするには、必要な要件を満たしていなくてはなりません。その要件のひとつが「実務経験年数」です。この年数について、実際の年数ではない数字にかえるなどして、ごまかして受験しているケースがみられるのです。
実務経験年数をいつわるなどして不正受験をしたことがわかった場合には、 たとえ試験に合格していたとしても、その合格は取り消しになります。不正な方法で取得した国家資格をつかって現場作業を実施したり、あるいは経営事項審査や建設業の許可を得たりするのは、建設業法違反となり、罰則の対象にもなります。
受験資格がないのに受験をしたのが受験者本人の意思であれ会社からの指示であれ、本人にもマイナスの影響がいくことは避けられません。実際に、そのような受験生に対して、建設業法施行令にもとづいて国都交通省が合格の取り消しをおこない、かつ、施工管理技術検定の受験資格についても、先3年間ははく奪されることとなりました。
不正取得が起こる背景として、建設会社のメリットが挙げられます。施工管理士を多く抱えていれば、より多くの現場に配置することができるため、多くの仕事を受けることが可能になります。つまり、会社の受注を増やし、売り上げを伸ばしたいという思惑があるわけです。
不正取得は、会社が社員に意図的に不正受験をさせることによるものとは限りません。もうひとつのケースとして、施工管理技術検定の受検要件である実務経験年数の規定が細かすぎて正しく理解していなかった、というものが挙げられます。とはいえ、不正受験であることには変わりないということになってしまいます。
意図しない不正受験という事態になるのをさけるためにも、受検の手引きには慎重に目をとおしておくようにすることが大切です。実務経験年数の計算方法など、受験資格に関する詳細な説明が記載されています。
不正受検が明るみになる以前には、国土交通省では、特に不正への罰則を定めていませんでした。そこで、発覚後に不正防止対策案を出しています。また、社員に不正受験をさせた企業に、どのような罰則が課されることになるのか、それを明確に規定していこうとする動きもあります。
また、意図せず不正受験というかたちになってしまう事態が発生するのを防ぐための対応策も新たに追加されました。受験要件などに関する手引きの記載をより理解しやすくなるように改良したり、あるいは、受検者および実務経験証明者が受検申請書作成の際に間違えやすい事項をまとめたリストを活用したりするなどの工夫がなされています。
2021年、パナソニックは、2019年度までの約40年の間に、グループ会社のトータル522人が、建設工事関連の国家資格である施工管理技士と監理技術者を不正取得していたと発表しています。
これは、実務経験に関する承認作業が、形だけのものになっていたことが原因だったようです。人手不足を受けて、資格取得を過度に推奨していたことがその背景にあったとされています。不正取得された資格は返納されることが決定しました。これからは、内部監査のための管理部設置や社員へのコンプライアンス研修実施により再発防止につとめていくとのことです。
施工管理資格は国家資格のひとつです。簡単に取得できる資格ではなく、合格までのハードルは高いといえます。けれども、仮に不正をしてそれが発覚してしまうようなことになれば、取り返しのつかないマイナスの影響を受けることになります。しっかりと試験対策を行い、受験生達が正しいルートで合格を目指すことが望まれます。
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