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オールケーシング工法

ケーシングチューブを用いた掘削工法のひとつであるオールケーシング工法。こちらでは、オールケーシング工法についてわかりやすく解説しています。メリットや種類、施工手順、注意点などについてみていきましょう。

オールケーシング工法とは

オールケーシング工法とは、岩盤・粗石・巨石・地中障害物などが含まれている地盤の施工にも採用できる、便利な工法です。

全長にわたり、ケーシングチューブという筒型の機械を使って工事を進めていきます。そのため、途中で孔壁が崩れてしまうなどのアクシデント発生リスクを、かなりおさえることができます。ケーシングチューブで孔壁をしっかりと保護しつつ、グラブバケット(ハンマグラブ)でケーシングチューブ内の土砂の排土をおこないます。

オールケーシング工法の利点

オールケーシング工法は、メリットの多い工法のひとつだといえます。主な4つの利点は次のとおりです。

【メリット1】孔壁が崩れるリスクが低い

上述のとおり、全長にわたってケーシングチューブを使うため、孔壁が崩れ落ちてしまうリスクが低くなります。崩壊が起こらなければ、不純物が打設コンクリートに混入してしまうような事態になるのを避けられます。

【メリット2】スライム除去が容易

孔底に溜まっているスライムは、泥水を清水に置き換えれば取り除くことが可能です。

【メリット3】正確性が高い

設計どおりになるよう鉄筋かごのかぶりをとることで杭周面部の正確性をアップ。また、杭頭部にも均一に打設できる工法であるため、コンクリートの余盛りなどをおさえられます。

【メリット4】掘削中に垂直性を確認できる

地上・機械上に直立しているケーシングチューブで、掘削中に垂直性を確認することが可能です。そのため、杭が曲がってしまわないように注意しながら作業を進めることが可能です。

オールケーシング工法の種類

オールケーシング工法には、大きくわけて「全旋回式」「揺動式」の2つがあります。

全旋回オールケーシング工法

ケーシングを同じ方向に全周回転させて、パワフルに岩盤を掘削していく施工方法のことを「全旋回式オールケーシング工法」と呼びます。この工法であれば、本体のまわりに回転反力取り用の重りを設置する必要がありません。ですから、それほどの広さがない現場であっても、問題なく適用することができる工法だといえます。

また、次に説明する「揺動式オールケーシング工法」は硬い地盤には不向きですが、この全旋回オールケーシング工法であれば、硬い地盤にも対応できます。

揺動式オールケーシング工法

ケーシングを円周方向に往復運動をかけ、油圧ジャッキを使って地盤を掘削していく施工方法のことを「揺動式オールケーシング工法」と呼びます。ケーシングチューブを揺動させるのにベノト掘削機を使うので「ベノト工法」と呼ばれる場合もあります。また、先端部の掘削用アタッチメントを、地盤の条件によって変えることもできるため、効率よく作業を進めやすいのが特長です。

オールケーシング工法の施工手順

  1. 杭の芯出しをして、掘削する場所を表示し、杭径の上に機器を設置します。
  2. 掘削をスタートするために、ケーシングチューブ先端部のファーストチューブを建てます。所定の深さまでチューブを建て込んだら、掘削作業に移ります。チューブ内の土砂などは、グラブバケットで排土します。掘削孔の底がチューブ下端よりも下にならないように気をつけましょう。
  3. ファーストチューブの全長分の掘削が終わったら、掘削を繰り返すためにチューブを継ぎ足していきます。支持層に到達し、杭底部のスライムを取り除いたら、杭の外枠となる鉄筋カゴの建て込みをおこないましょう。

オールケーシング工法の注意点

作業場所には一定の広さが必要

全旋回オールケーシング工法であればあまり問題はありませんが、揺動式オールケーシング工法で施工する場合には、広さが充分でない現場では、作業自体が不可能になってしまうこともあります。というのは、工事に使う掘削機が大きく、かつ、動きが大きい工法であるため、敷地境界線から杭芯までに、充分な距離を確保する必要があるのですが、狭い場所だとそれが難しくなるからです。

砂層には適さない場合もある

砂層などの現場では、ケーシング工法を用いると、アクシデントが発生する可能性があります。ケーシングに働く摩擦力がどうしても強くなるので「揺動不能」「引き抜き不能」といった事態が起こりやすくなるのです。

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