土木工事現場で、監理技術者・主任技術者として働くためには国家資格の「土木施工管理技士」の取得が必須になります。
土木施工管理技士には2級と1級があり、その技術検定制度は建築業法第27条にもとづき、国土交通大臣指定機関が実施します。また資格試験は学科と実地試験があり、資格取得後には、建設会社、鉄道会社、電力会社、国交省、地方自治体などに就職の道が拓かれています。
土木施工管理技士とは
土木工事の施工を管理する国家資格
土木施工管理技士とは、国土交通省が管轄する国家資格で、道路や橋梁、河川などの土工や網構造・コンクリート構造物の施工管理を行うための資格です。仕事内容は施工計画の作成、進行・品質・安全の管理から、発注者や施工業者、ときには周辺住民の対応までさまざま。分かりやすく言うと土木工事の「現場監督」です。現場ごとに必ず配置する義務があるため、建設業界ではもはや必須の資格と言えるでしょう。
学科試験・実地試験という二つの試験に合格すると取得することができます。
土木施工管理技士の受験資格・実務経験は
学歴や専攻学科で異なる
土木施工管理技士の試験は国土交通省の認定を受けた機関（全国建設研修センター）により、1級は年1回、2級は年2回開催されています。
試験は全国の主要都市で行われ、任意の試験会場を選択することができます。受験資格には実務経験があり、最終学歴と専攻学科によって異なります。試験は学科・実地の二種類がありますが実技試験はなく、どちらもペーパーテストのみです。合格率は2級1級ともに学科試験が50％台、実地試験が30％台と決して簡単ではありませんが、しっかり時間を作って毎日勉強すれば難しいものではありません。
土木施工管理技士の取得条件と難易度について
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難易度が高い実地試験への合格が必要
工事現場で現場監理者として重宝されるのが、土木施工管理技士です。2級土木施工管理技士と1級土木管理技士に分かれており、資格を取得するには学科試験と実地試験の両方に合格する必要があります。学科試験に合格しても実地試験に不合格では資格取得が認められません。そこが土木施工管理技士の難しいところではありますが、取っておくと様々なメリットがあります。
では、土木施工管理技士の実地試験はどのようなものでしょうか？1級と2級の実地試験の受験資格や問題の内容、毎年の平均的な合格率や実地試験の対策方法について詳しくご紹介します。
土木施工管理技士の2級と1級では
できる仕事と年収が異なる
土木施工管理技士には2級と1級の区分があり、それぞれできることが違います。簡単に言うと1級は扱える工事の制限がなく、2級は小規模な土木工事に制限されます。活躍の幅が広がるため、1級の方が昇進や年収アップは目指しやすいといえるでしょう。また、求人に関しても1級を取得していると、大手ゼネコンなどが手掛ける大規模なプロジェクトに関われる仕事を選択しやすくなります。受験資格を満たしているなら、ぜひ最初から1級の取得を目指したいところです。
試験に合格するための勉強期間と勉強法
土木施工管理技士の試験は学科と実地があり、まずは学科試験の対策から始めることになります。試験範囲は幅広いため、2級・1級ともに半年間はしっかりと勉強しておきたいところ。実地試験については、学科試験の合格を確認してからで十分間に合います。効率良く学習するために、通信講座なども検討してみましょう。また、会社によっては研修制度などで資格取得を支援している場合もありますので、積極的に活用したいところです。
土木施工管理技士試験合格のために何をすべき？
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土木業界の現場で役立つ、おすすめの資格とは
建設業界の土木分野で有効になるのは土木施工管理技士の資格のみではありません。仕事の幅を広げられる資格、専門分野を掘り下げてプロフェッショナルを目指せる資格など、土木業界でさらに活躍するために役立つ資格を7つ紹介します。
それぞれの資格について、どんな現場で役立つのか、どのような人に向いているのかなども詳しく解説していきます。
世界でひとつだけの
プロジェクトを完成させる
道路やダム、橋梁といった土木構造物の建設工事で、現場監督という中心的な役割を果たす「土木施工管理技士」。「大規模な建設工事をやり遂げる達成感」、「作業員の命と安全を守る」、「様々な人たちとコミュニケーションがとれる」「地域から感謝の声を寄せられる」など、土木建設の現場監督だからこそ得られるやりがいには、何物にも変えがたい喜びがあります。
実際に土木施工管理技士として働いている方の声もまとめていますので、ぜひともチェックしてみてください。
2024年度（令和6年度）から受検資格が変更
土木施工管理技士の資格取得を目指す方のために、受検申込みの期間や試験日、合格発表日といったスケジュールや申込み方法などを分かりやすくまとめています。
また、1級・2級土木施工管理技士の第二次検定について、2024年度から受検資格が刷新されています。受検を考えている人は必ず変更点も確認しておきましょう。
1級・2級土木施工管理技士の
試験日程（2024年）
について詳しく読む
このページの最初でも述べましたが、土木施工管理技士の国家資格を取得して高収入を得るには「学歴」「資格」「経験」「学科」「実地」の5つの要素の蓄積が必要になります。
とりあえず実務経験を積むために建設会社に就職するのも一つの考え、でも、その会社で日々の業務に忙殺されてしまい、学習の時間がなかったら、学科試験で苦戦して、場合によっては資格浪人になってしまうケースもあります。
建設会社によっては、資格取得者の人数を元請けに対するセールスポイントとしている会社も。そのため、資格取得の勉強会や、資格取得に対して手当て・援助を積極的に行っている企業もあります。
学習の機会を与えてくれて、将来の資格をバックアップしてくれる会社を選ぶといいかもしれませんね。
官公庁の発注者支援に強い
本サイトの監修・取材協力企業
株式会社ティーネットジャパンとは
発注者支援業務において
日本を代表する企業
株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで23年連続業界１位を獲得（『日経コンストラクション』2025年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2025」）。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。
情報化施工とは、建設工事においてデジタル技術やIT技術を活用し、データ収集や設計、進捗管理、情報共有を効率化する手法です。例えば、3Dモデルを使った設計や、クラウドシステムによるリアルタイムの情報共有などがその一例です。デジタル化の推進により、従来の手作業や紙ベースの管理に比べて、施工の合理化や効率化が期待されています。
コンクリートの性質や品質を改善するために使用される「混和材料」には、大きく分けて「混和材」と「混和剤」の2種類があります。混和材は、コンクリートの量に対して多量に使われる粉体系の材料であり、代表的なものには高炉スラグやフライアッシュがあります。これらは、強度や耐久性を高めるために用いられます。
一方、混和剤は、少量でコンクリートの性質を大きく変える薬剤系の材料です。AE剤や減水剤などがあり、これらは流動性や施工性を向上させる目的で使用されます。土木施工管理技士として、両者の違いやそれぞれの役割を理解しておくことが重要です。
再生骨材とは、建物の解体で発生したコンクリート塊を粉砕し、再利用するリサイクル素材です。これを使用して作られるコンクリートは「再生骨材コンクリート」と呼ばれます。
再生骨材には「L」「M」「H」の3つのグレードがあり、それぞれ使用できる場所や条件が異なります。土木施工管理技士として、再生骨材の特徴やメリットを把握しておきましょう。
残土とは土木工事や建設工事において発生する余剰な土のことで、正式名称は「建設発生土」です。残土は指定副産物として扱われ、可能な限り再生資源として活用することが求められています。土質に応じて土地造成、盛り土、埋め戻しなどに再利用され、環境負荷の低減と資源の有効活用が図られています。
コーン指数は地盤や土質の強度を示す重要な指標です。測定には「コーンペネトロメーター」という円錐状（コーン状）の器具を使用し、これを地中に押し込んだ際の抵抗力から地盤の強度を数値化します。
コーン指数が低いほど地盤は柔らかく、この数値に基づいて現場での重機の選定や運用方法が決定されます。工事の安全性と効率性を確保するうえで重要な指標となっています。
CBR試験は、路床や路盤の支持力（CBR：California Bearing Ratio）を調査する試験方法で、アメリカのカリフォルニア州交通局が開発しました。日本ではアスファルト舗装の設計において重要な指標として採用されています。試験方法には、現地から採取したサンプルを用いる室内CBR試験と、施工現場で直接行う現場CBR試験があり、目的に応じて使い分けられています。
平板載荷試験は建築工事における重要な地盤調査方法の一つです。直径30cmの載荷板を調査対象の地盤に設置し、実際の建築物を想定した荷重を段階的にかけることで、地盤の支持力や変形特性を測定します。
実際の使用条件に近い荷重で試験できるため信頼性が高い特徴がありますが、調査可能な深さが載荷板径の約2倍（約60cm）までに限られることや、地盤の不均一性を完全には把握できないといった制約があります。これらの特徴を理解したうえで、他の調査方法と組み合わせて総合的な地盤評価を行うことが重要です。
コンクリートの材料として使用されるセメントには、ポルトランドセメント、混合セメント、エコセメントなど、さまざまな種類があります。それぞれのセメントにはさらに細かい区分が存在し、用途に応じて適切なセメントを選ぶことが求められます。
現場密度試験は、土木工事の現場で土の密度（現場密度）を測定するための試験方法です。代表的な方法として「砂置換法」や「突砂法」があり、さらに「水置換法」「コアカッター法」「RI法」など、現場の状況に応じて使い分けます。これにより、土の状態を正確に把握し、工事の品質を確保することができます。
スカーブ（土積曲線）は、土木工事現場で切土や盛土によって増減する土量の累計を図表として示したグラフです。このグラフは、土の運搬計画を立てる際の重要な参考資料となります。マスカーブの概要や見方について把握しておきましょう。
コンクリートは低温環境下で使用すると、凝結に時間がかかり、品質が低下する恐れがあります。そのため、寒冷地や冬季などの低温環境で使用する場合は、専用の「寒中コンクリート」を用います。寒中コンクリートは、低温環境でも品質を保つように設計された特別なコンクリートです。
コンクリートを使用する環境が高温の場合、凝結が早まり、乾燥も急速に進むことで、品質低下を引き起こすリスクがあります。そのため、1日の平均気温が25度を超えるような環境では、高温環境に適した「暑中コンクリート」を使用します。
令和6年度に行われた1級土木施工管理技術検定について、第一次検定・第二検定の総評をまとめました。各分野の内容と難易度について詳しく解説しているので、試験を受検された方、来年以降の受検を考えている方はぜひ参考にしてください。
コンクリートは長期間使用される中で、外部環境の影響を受けて徐々に劣化が進行します。劣化が進むと、構造物の安全性や耐久性が損なわれてしまいます。コンクリートに生じる主な劣化のメカニズムと対策についてまとめました。
コンクリートのジャンカ（豆板）は、打設したコンクリートの一部でセメントペーストやモルタルが十分に充填されず、粗骨材が集中して空隙が多くなった不良部分を指します。ジャンカが生じる原因は主に「材料の分離」や「締め固め不足」が挙げられます。
スレーキングは、浸潤と乾燥が繰り返されることで、盛土に使用された軟石や硬岩が細粒化（いわゆる土砂化）してしまう現象を指します。進行すると、盛土が崩壊したり、切土部分で地すべりが発生したりといったリスクを引き起こします。特に、長期的な安定性が求められる土木構造物では、事前のリスク評価や適切な対策が欠かせません。
レイタンスとは、コンクリートを打設した後、表面に浮き出てくるセメントや骨材の微粒子で構成された薄い層を指します。この薄層は脆弱で、多孔質の性質を持つため、適切に除去しなければ、コンクリート構造物の施工品質に深刻な影響を与える可能性があります。
特に、新旧コンクリートの接合部での付着阻害や水密性の低下が問題となるため、レイタンス除去は施工管理の重要なプロセスです。
ブリーディングとは、コンクリートを打設した際に内部から表面へ浮上してくる水の現象を指します。この浮上した水は「ブリーディング水」と呼ばれます。一見無害に思えるこの現象ですが、放置するとコンクリートの沈下やひび割れの原因となり、さらには接合不良やコールドジョイントの発生につながる恐れがあります。
そのため、施工時にはブリーディングの仕組みを理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。
グラウト材は、土木工事や建設工事で発生する亀裂やひび割れを補修し、施工品質を向上させるために使用される液体性の建築資材です。空洞や隙間に注入・充填され、硬化することで亀裂を修繕し、構造物の強度を高める役割を果たします。
セメント系、ガラス系、合成樹脂系などの種類があり、それぞれ特徴や用途が異なるため、使用環境や目的に応じた選択が施工の成否を左右します。
排水工法は、掘削や構造物の施工において地下水や湧水を適切に排出し、地盤や掘削面の安定性を確保するために採用される施工方法です。釜場排水工法は小規模な工事に適しており、地下水位を低下させる必要がない場合に使用されます。一方、ディープウェル工法やウェルポイント工法は、地下水位の調整や透水性の異なる地盤に対応するための効果的な方法です。それぞれの工法を正しく理解し、現場の条件に適した選定を行うことで、安全で効率的な施工を実現できます。
プルーフローリング試験は道路の造成後にローラー車などを用いて路床や路盤の状態を検査する方法です。
道路工事完了後に車両を道路上で走らせ、沈下量や変形の状態を測定します。プルーフローリング試験は、施工不良や道路の品質を確認するために重要な検査の一つです。
コンクリート構造物の施工で打ち重ねを行う際、適切に打ち込まないとコンクリートが一体化せず、継ぎ目が生じるコールドジョイントが発生します。コールドジョイントの発生リスクを低減する方法を解説します。
コンシステンシーは土質力学やコンクリート工学などの分野で使用される専門用語であり、粘性のある物質に力が加えられたときの変形や流動に対する抵抗性を意味する言葉です。コンシステンシーの内容やワーカビリティーとの違いなどについて把握しておきましょう。
すでに硬化しているコンクリートに対して、新しいコンクリートを打ち込んでいく作業を「打ち継ぎ」と呼びます。コンクリートの打ち継ぎは、大規模施工などで用いられる施工法ですが、正しい手順や注意点を理解しておくことで、品質低下のリスクを抑えることができます。
普通コンクリートよりも流動性に優れたコンクリートとして、流動化コンクリートや高流動コンクリートといったものがあります。流動化コンクリートと高流動コンクリートを使用する際は、それぞれの違いや施工時の注意点を理解した上で使う必要があります。
流動化コンクリートと高流動コンクリートについて
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軽量盛土工法は、通常の土よりも軽い素材を使って行う盛土の方法です。発泡スチロールや発泡ウレタン、発泡セメントなどが代表的な材料で、単体で使用するだけでなく、土と混ぜて軽量性を高めることもあります。構造物への荷重を抑えられるため、軟弱地盤や高盛土に適した工法として活用されています。
緩速載荷工法は、特別な材料や施工機械を使わず、時間をかけて盛土することで、地盤を圧密させて強化する方法です。盛土自体の重みで地盤が自然に締め固まるのを待つため、工期はかかりますが、施工コストを抑えやすく、経済性を重視した現場などで採用されることがあります。
ボイリングは、掘削工事中に地下水が土留め壁の下から内部に流れ込み、掘削底面から水や土砂が噴き出してくる現象です。透水性の高い砂質地盤で発生しやすく、放置すると地盤の安定性が損なわれ、掘削面の崩壊や事故のリスクが高まります。発生を防ぐためには、事前の調査と適切な対策が欠かせません。
ヒービングは、掘削中に地層や地下水が沈下して圧力がかかり、壁の下から土が回り込むようにして掘削底面を押し上げる現象です。一見するとボイリングに似ていますが、ヒービングは主に「土」が原因で起こる点が異なります。放置すれば掘削の継続が困難になるだけでなく、壁の倒壊など重大な事故にもつながるおそれがあります。
盤ぶくれ（盤ぶくれ現象）は、難透水層のある地盤で掘削を行い、上の土が取り除かれることで荷重が減少し、下にある地下水（被圧水層）の水圧が高まって掘削底面を押し上げたり、水が湧き出したりする現象です。大規模な掘削現場で起こりやすく、放置すると地盤の安定性が損なわれるため、早期の把握と対策が求められます。
土木工事や建築工事を行う際には、施工予定地の地盤について正確な情報を事前に把握しておく必要があります。そのためには、適切な「土質調査」を実施し、地盤の性質や状態を科学的に分析することが欠かせません。
土質調査は大きく「原位置試験」と「室内試験」に分類されており、さらにそれぞれの試験方法は、調査目的や評価対象に応じて細かく分類されています。
本サイトの監修・取材協力企業
株式会社ティーネットジャパンとは
発注者支援業務において
日本を代表する企業
株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで23年連続業界１位を獲得（『日経コンストラクション』2025年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2025」）。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。
