道路の舗装工事は、インフラ整備の中でももっとも基礎的な分野のひとつで、多くの施工管理技士が携わる仕事です。一見するとシンプルな作業に思われがちですが、実際には地盤の状態や交通量、気候条件など、さまざまな要素を踏まえた設計と管理が欠かせません。
この記事では、舗装工事の目的や種類、そして現場での一般的な施工手順について紹介します。
舗装工事の目的は、道路の表面を平らに整え、車両や歩行者が安全かつ快適に通行できるようにすることです。さらに、荷重を地盤にうまく伝えて耐久性を確保し、雨や気温の変化から路面を守る役割も担っています。
舗装が適切に施工されていないと、路面のひび割れやわだち掘れが早期に発生し、補修コストの増大につながります。こうした点からも、舗装工事はインフラ維持の基本となる技術といえるでしょう。
舗装工事には、大きく分けて「アスファルト舗装」「コンクリート舗装」「特殊舗装」の3種類があります。それぞれ構造や施工方法、適した場所もさまざまです。ここでは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
アスファルト舗装は、日本の道路で最も多く採用されている舗装方法です。黒い粘性をもつアスファルトに砕石や砂などの骨材を混ぜ合わせ、高温で加熱しながら施工します。専用の機械(アスファルトフィニッシャー)で均一に敷きならし、ローラーで転圧して密度を高めることで、滑らかで強い路面が完成します。
アスファルト舗装の大きな特長は、柔軟性と施工性の高さです。施工が比較的容易で、養生期間も短いため、交通量の多い都市部の道路や補修工事に適しています。また、アスファルトの配合を調整することで、防水性や透水性を高めることもできます。
一方で、高温時には軟化しやすく、わだち掘れやひび割れが発生しやすいという弱点があります。そのため近年では、耐久性を高めた「改質アスファルト」や、路面温度の上昇を抑える「遮熱性舗装」など、新しい材料の開発も進んでいます。
コンクリート舗装は、セメントに砂や砕石、水を混ぜて作ったコンクリートを用いる舗装です。アスファルトに比べると施工には時間がかかりますが、高い強度と耐久性を持ち、長期間にわたって安定した性能を発揮します。
とくに、大型車両が頻繁に通行する場所――たとえば港湾施設、空港滑走路、物流拠点、高速道路の一部など――で採用されることが多い舗装です。表面は白っぽく、太陽光を反射するため、路面温度が上がりにくいという利点もあります。
ただし、施工中はコンクリートの硬化期間が必要で、工期が長くなる点が課題です。また、ひび割れを防ぐための伸縮目地の配置や、凍結による損傷への対策など、設計段階から慎重な管理が求められます。維持管理の手間は少ない一方で、初期費用が高くなる傾向もあります。
近年では、道路の機能や周辺環境に応じて性能を高めた「特殊舗装」も広く使われるようになっています。安全性や快適性、環境への配慮など、目的に応じて多様な種類があり、場面に合わせて選択されています。
雨天時に路面に水がたまりにくいよう、表層に細かな空隙を設けた舗装です。雨水が路面から内部へしみ込み、排水される仕組みになっています。この構造により、水はねやスリップの防止、視界の確保に効果があり、高速道路や交通量の多い市街地で多く採用されています。
ただし、空隙に土や砂が詰まると透水性が低下するため、定期的な清掃が必要です。
アスファルト混合物に顔料を加え、表層に色をつける舗装です。赤や緑などの色を使うことで、歩行者道路・自転車道・バスレーンなどの区分を明確にできます。視認性の向上だけでなく、景観づくりの一環として観光地や公園などにも活用されています。
表層に多くの空隙を持たせ、タイヤと路面の接触音を吸収する構造の舗装です。住宅地や学校周辺など、騒音対策が求められる場所で効果を発揮します。耐久性や施工コストとのバランスを考慮しながら、道路環境に応じて採用されることが一般的です。
舗装工事は、調査や準備から始まり、いくつもの工程を経て完成します。それぞれの段階で求められる精度や確認事項が異なり、どの工程も欠かすことはできません。ここでは、一般的なアスファルト舗装工事を例に、主な作業とポイントを順を追って紹介します。
工事はまず、現地の測量から始まります。設計図に示された線形や高さ(レベル)、勾配などをもとに、実際の地形との整合を確認します。もし地形や既設構造物にズレがある場合は、設計変更や調整が必要になるため、この段階での確認は非常に重要です。
また、施工範囲に障害物がないか、通行規制や仮設計画に問題がないかもあわせて確認します。測量で得たデータは、後の各工程の「基準」となるため、正確であることが求められます。
路床(ろしょう)は舗装の最下層にあたり、道路全体を支える基礎となる部分です。この層が弱いと、上部の舗装が沈下したり、ひび割れたりする原因になります。
ブルドーザーやモーターグレーダーで地盤を整えたあと、コンバインドローラーなどを使って繰り返し締め固めを行います。締固め度が不足していると地耐力が確保できず変形が生じるため、現場では「平坦性」と「締固め度(密度)」を丁寧に確認します。
また、軟弱地盤の場合は、セメントや石灰を混合して地盤改良を行うこともあります。この工程は舗装全体の耐久性を左右するため、施工管理技士が特に注意を払う部分です。
路盤(ろばん)は、車両の荷重を分散し、路床へと伝える役割を持つ層です。砕石や再生骨材などを敷き均し、モーターグレーダーで形状を整えたあと、ローラーで転圧して密度を確保します。
一般的には「上層路盤」と「下層路盤」に分けられます。上層路盤は粒度が調整された砕石などで構成され、強度と安定性の確保に寄与します。下層路盤はコストを抑えるため、現場で入手しやすい材料(切込砂利など)が使われることが多い層です。
施工時には、層厚・締固め度・平坦性の管理が重要で、試験による確認も行われます。ここで精度を確保することが、舗装全体の仕上がりや耐久性に直結します。
路盤が完成したら、次に「基層(きそう)」を施工します。基層はアスファルト混合物を用いて、上部の表層を安定的に支える層です。
加熱したアスファルト混合物(およそ150℃前後)をアスファルトフィニッシャーで敷き均し、すぐにローラーで転圧します。温度が低下すると十分な密度が得られず、将来的なひび割れや剥離の原因になるため、温度管理と転圧のタイミングが重要なポイントです。
基層の品質が安定していないと、表層が波打ったり、部分的に沈んだりするため、平坦性の確認も欠かせません。
舗装の最上層である「表層」は、車両や歩行者が直接通行する部分です。滑りにくさや摩耗への強さ、雨水をはじく性質などが求められます。施工方法は基層とほぼ同じですが、使用するアスファルト混合物の配合が異なります。
表層の仕上がりは道路の「顔」ともいえるため、均一な仕上がりと美しいラインを意識した施工が必要です。転圧後には、路面の平坦性・密度・厚さを測定し、所定の基準を満たしているかを確認します。この検査をもって、舗装工事は完了となります。
舗装が完成したあとも、一定期間の養生や交通開放前の点検が行われます。排水状況、勾配、表面温度、ひび割れなどを確認し、異常がなければ交通を再開します。
また、完成後も定期的な点検や補修が行われることで、道路の性能が維持されていきます。
本サイトの監修・取材協力企業
株式会社ティーネットジャパンとは
発注者支援業務において
日本を代表する企業
株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで23年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2025年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2025」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。
