近年、建設や土木の現場で「ツールボックスミーティング（TBM）」という言葉をよく耳にするようになりました。作業前のわずかな時間に行われるミーティングですが、その5〜10分が現場の安全を大きく左右すると言っても過言ではありません。
ここでは、TBMの目的や進め方、そして現場で活かすためのコツをわかりやすく紹介します。
ツールボックスミーティング（TBM：Tool Box Meeting）は、現場作業を安全に進めるための短い打ち合わせのことです。日本語では「危険予知訓練（KY）」や「作業前ミーティング」と呼ばれることもあります。もともとは「道具箱（ツールボックス）」のそばで行われたことから、この名前がつきました。
TBMの最大の目的は、事故やトラブルを未然に防ぐことです。作業開始前にチーム全員が集まり、作業内容や範囲、安全のポイントを確認します。これにより、「誰が・どこで・何をするか」が全員に共有され、思い込みや伝達ミスが起こりにくくなります。
また、TBMは作業員一人ひとりの安全意識を高める時間でもあります。たとえば「昨日ここで滑りやすかった」「この足場は注意した方がいい」といった小さな気づきを共有することで、事故を防ぐだけでなく、現場全体の信頼関係も深まります。
建設や土木の現場では、複数の作業が同時に進みます。職種も作業内容も異なる人たちが一緒に働くからこそ、事前に「今日は何を、どのように、どんな点に注意して行うか」を共有しておくことが大切です。そのためTBMは、作業前だけでなく、昼休憩後や作業内容の切り替え時にも行われることがあります。
TBMとよくセットで行われるのが「危険予知活動（KYK）」です。この2つは似ていますが、目的に少し違いがあります。
現場では「TBM-KY」として同時に行われることが多く、「今日の作業内容」と「危険のポイント」を合わせて確認することで、安全対策の効果がより高まります。
TBMは職長やリーダーを中心に、現場全員で行います。一般的に「4ラウンド法」と呼ばれる流れがよく用いられています。
このように段階を踏むことで、短時間でも要点が整理され、実行に移しやすい話し合いになります。
TBMを形だけで終わらせないためには、ちょっとした工夫が大切です。まず、時間をかけすぎないこと。作業が本来の目的なので、5〜10分を目安に要点を絞って話します。
また、全員に発言の機会を与えることも重要です。職長が一方的に話すよりも、現場で実際に作業する人が意見を出す方が、より実践的な注意点が見えてきます。
さらに、その日の作業内容に合わせたテーマを設けると効果的です。「今日は重機の出入りが多い」「雨で足場が滑りやすい」など、状況に即した内容を話し合うことで、意識が自然に高まります。
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