港湾工事や港内での作業を行う現場では、通常の土木工事とは異なる法律が関係してきます。その代表的なものが「港則法」です。この記事では港則法の概要や、港則法が関係する土木工事の場面、土木施工管理技士が特に注意したい港則法のポイントを解説します。
港則法は、港内における船舶交通の安全と、港内の秩序を保つことを目的とした法律です。港の中では、多くの船舶が出入りし、荷役や工事、さまざまな作業が同時に行われています。そうした状況の中で、事故や混乱を防ぐために定められているのが港則法です。
すべての港が対象になるわけではなく、大型船舶や外国船舶が常時出入りする「特定港」と呼ばれる港を中心に適用されます。
考え方としては、港内版の道路交通法に近い法律と捉えると分かりやすいでしょう。ただし、対象が船舶である点、そして「港内での工事や作業」が含まれる点が特徴です。
港則法は、船舶の航行だけを規制する法律ではありません。港内や港の境界付近で行われる工事や作業もその対象になります。
たとえば、護岸工事、岸壁工事、浚渫工事、仮設構造物の設置、海上での作業など、船舶の通行や停泊に影響を与える可能性がある工事は、港則法と無関係ではいられません。
施工管理技士の立場では「工事をしている場所が港内かどうか」「船舶の航行に影響を与えるおそれがあるか」といった点を意識する必要があります。
現場によっては、工事内容そのものよりも、港内で作業するという事実が規制対象になるというケースもあるため、注意が必要です。
港則法を理解するうえで欠かせないのが、「港長」の存在です。港長は、港内における安全と秩序を維持するための責任者であり、港則法に基づいて、届出や許可、指示などを行います。
港則法では、行為の内容によって「届出で足りるもの」と「許可が必要なもの」が分かれています。
ここで重要なのは、届出と許可は意味がまったく違うという点です。届出は、「これからこのような行為を行います」と港長に知らせる行為です。一方、許可は「その行為を行ってよいかどうか」を港長が判断し、認めるものです。
施工管理の実務では、「届出を出しているから大丈夫」と誤解してしまうと後からトラブルにつながるおそれがあります。
施工管理技士の立場で特に注意したいのは、港内や港の境界付近で行う工事や作業は原則として許可が必要になるという点です。
たとえば、「航路付近での工事」「船舶の通行に影響を与える仮設物の設置」「海上での作業や作業船の使用」…こうした行為は、港内の安全に直結するため、港長の許可や指示を受ける必要が出てきます。
また、工事そのものが問題なくても、周知不足や調整不足によって船舶の航行に支障が出ると責任を問われる可能性もあります。そのため、事前の協議や確認を怠らず、関係機関と調整したうえで工事を進める姿勢が重要になります。
港則法は、全国すべての港で同じように運用されるとは限りません。港の規模や利用状況によって、運用ルールや細かな取り扱いが異なる場合もあります。
実際の現場では、「法律の条文」だけで判断するのではなく、港長や関係者との事前協議を通じて確認することが欠かせません。施工管理技士としては、「知らなかった」「聞いていなかった」では済まされない法律であることを、しっかり意識しておく必要があります。
港則法は、港内で工事や作業を行う際に必ず関係してくる重要な法律です。施工管理技士にとっては、船舶の細かな航行ルールよりも工事と港長の許可・届出の関係を理解しておくことが大切になります。
港内工事では、事前確認と調整が安全管理の第一歩です。港則法の考え方を押さえておくことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して現場を管理できるようになるでしょう。
本サイトの監修・取材協力企業
株式会社ティーネットジャパンとは
発注者支援業務において
日本を代表する企業
株式会社ティーネットジャパンは、公共事業の計画・発注をサポートする「発注者支援業務」において日本を代表する建設コンサルタントです。
建設コンサルタントにおける『施工計画、施工設備及び積算』部門の売上げで23年連続業界1位を獲得(『日経コンストラクション』2025年4月号「建設コンサルタント決算ランキング2025」)。主に官公庁の事務所に拠点をおいた業務のため、官公庁に準じた完全週休2日制。ゆとりある環境です。
