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水理学

令和6年度以降の土木施工管理技士試験では、工学基礎分野として「水理学」が新たに出題対象に加わりました。この記事では、水理学とはどのような分野なのか、押さえておきたいキーワードや試験対策について解説します。

水理学とは

水理学とは、川や水路、管路などにおける水の流れや、水が及ぼす力を工学的に扱う分野です。土木工学の一分野として位置づけられており、ダムや河川、上下水道、排水施設など、水に関わるさまざまな構造物や設備の基礎となる学問です。

水理学は、流体力学の考え方を土木分野に応用したもので、水が静止している場合の力のかかり方や、流れているときの速さ・量・エネルギーの変化などを扱います。水は形がなく、常に動く性質を持つため、その挙動を整理して理解することが、水理学の大きな役割だといえるでしょう。

日本は、急な地形や降雨量の多さから、洪水や内水氾濫といった水害が起こりやすい国です。そのため、河川の整備や排水計画、水路設計などにおいて、水理学の知識は欠かせません。水の流れを正しく把握することは、災害を防ぎ、安全な生活環境を維持するうえでも重要です。

水理学の重要キーワード

施工管理の立場においても、水理学は身近な分野です。現場では、仮排水や排水計画、水路や管路の施工など、水の扱いに関する判断が求められる場面が多くあります。ここでは、水理学を学ぶうえでまず押さえておきたい重要なキーワードを紹介します。

水圧と全水圧

水圧とは、水が物体に及ぼす圧力のことです。水が静止している場合でも、容器の底や壁には力がかかっており、この力を水圧として考えます。

水圧の大きな特徴は、水深が深くなるほど大きくなるという点です。水の重さによって、下のほうほど大きな力がかかるため、同じ面積でも、深い位置にある部分ほど強い水圧を受けます。

一方、全水圧とは、壁や板などの面に作用する水圧を全体として合計した力を指します。水圧は位置によって大きさが異なるため、全水圧は単純な掛け算ではなく、水圧分布を考えたうえで求められます。

また、全水圧がどの位置に作用するか、という点も重要です。全水圧の作用位置は、圧力分布の重心として考えられており、水面からの距離で表されます。水理学では、「力の大きさ」と「どこに作用するか」をセットで捉えることが基本となります。

流量と流速、連続の式

水の流れを考えるうえで欠かせないのが、流量と流速の関係です。流量とは、一定時間あたりに流れる水の量を表し、流速は水が流れる速さを示します。

水理学では、流れが連続している場合、どの断面でも流量は等しくなると考えます。この関係を式で表したものが連続の式です。

連続の式から分かるのは、流れる水の量が同じであれば、断面積が大きいところでは流れがゆっくりになり、断面積が小さいところでは流れが速くなるということです。水路が狭くなった部分で流れが速くなる、といった現象は、この考え方で説明できます。

令和6年度の土木施工管理技士試験では、この連続の式を用いて、定常流における流速や流量を求める問題が出題されました。公式そのものを暗記しているかよりも、流量と流速の関係を理解しているかどうかが問われる内容だったといえます。

マニングの式

マニングの式は、開水路や管路における水の流れを考える際に用いられる代表的な公式です。水路の形状や粗さをもとに、平均的な流速を求めるために使われます。

この式を理解するうえで重要なのは、計算手順そのものよりも、どのような量を求めるための式なのかを把握することです。マニングの式は流速を求めるものであり、流量を求める場合には、連続の式と組み合わせて考えます。

あわせて押さえておきたい用語として、流積・潤辺・径深があります。流積は水が流れている断面の面積、潤辺は水が接している水路の周囲の長さを表します。径深は、流積を潤辺で割った値で、水路の形状が流れに与える影響を整理するための指標です。

令和7年度の土木施工管理技士試験では、マニングの式を用いた管路の流量計算が出題されました。初めて見ると難しく感じやすい分野ですが、用語の意味と式の役割を理解していれば、落ち着いて対応できる内容だったといえます。

ベルヌーイの定理

ベルヌーイの定理は、水の流れにおけるエネルギーのつり合いを表した考え方です。水が高いところから低いところへ流れる際には、位置や速さ、圧力といった要素が変化しますが、これらをエネルギーとして整理します。

このときに使われるのが、水頭という考え方です。水頭は、位置水頭・速度水頭・圧力水頭といった形で、水が持つエネルギーを表します。実際の流れでは、摩擦や形状の変化によってエネルギーが失われるため、これを損失水頭として考えます。

ベルヌーイの定理では、「エネルギーはどこで増え、どこで失われるのか」を整理することがポイントになります。公式を覚えるだけでなく、水の流れをイメージしながら考えることが、理解への近道だといえるでしょう。

水理学の試験対策について

令和6年度以降の土木施工管理技士試験では、工学基礎分野として水理学が必須出題となりました。第一次検定では、土質工学・構造力学・水理学の3分野から基礎的な知識が問われる構成となっています。

水理学については、毎年1問が出題されており、試験全体の中では基礎確認の位置づけにある分野だといえます。出題内容も、大学レベルの高度な理論や複雑な計算を求めるものではなく、2級土木施工管理技士試験と同程度の内容が中心です。

公式を丸暗記することに意識を向けるより、流量や流速、水圧といった用語の意味や、水の流れに関する基本的な関係を理解しておくことが、試験対策として効果的だといえるでしょう。

令和6年度の出題内容

令和6年度の第一次検定では、工学基礎分野として5問が必須出題され、そのうち水理学からは1問が出題されました。出題内容は、定常流における流速と流量の関係を扱った問題で、連続の式に関するものでした。

連続の式は、「どの断面でも流量は一定である」という基本的な考え方を理解していれば対応できる内容で、2級土木施工管理技士試験と同レベルの問題構成でした。難しい計算や複雑な条件設定はなく、水の流れを正しくイメージできているかが問われる問題だったといえるでしょう。

令和7年度の出題内容

出題内容は、マニングの式を用いた管路の流量計算に関する問題で、令和6年度よりも計算要素が含まれる構成となっていました。

マニングの式は、水理学の中でも頻出の公式ですが、初めて見る場合には難しく感じやすい分野です。ただし、出題の意図は複雑な計算能力を問うものではなく、流量を求めるまでの考え方や、式の使いどころを理解しているかどうかを確認する内容でした。

特に、径深や流積、潤辺といった用語の意味を正しく理解しているかが重要なポイントとなっており、これらの基本的な用語を押さえていれば、落ち着いて対応できる問題だったといえます。

試験から見える「水理学の位置づけ」

令和6年度・令和7年度の出題内容を振り返ると、土木施工管理技士試験における水理学は、設計計算の専門分野としてではなく、施工管理に必要な工学の基礎として位置づけられていることが分かります。

問われているのは、公式をどれだけ暗記しているかではなく、「水がどのように流れるのか」「条件が変わると何が変化するのか」をイメージできているかどうかです。重要となる公式や考え方は限られており、連続の式やマニングの式といった基本を押さえておけば、過度に構える必要はありません。

水理学は難しく感じられがちですが、流れの仕組みを整理して理解することで、試験対策としても取り組みやすい分野だといえるでしょう。

まとめ

水理学は、川や水路、管路などにおける水の流れや、水が及ぼす力を考えるための基礎的な分野です。土木施工管理技士試験においても、専門的な設計計算より、水の動きを正しくイメージできているかが重視されています。

試験対策としては、多くの公式を暗記するよりも、水圧や連続の式、マニングの式といった基本的な用語と考え方を整理して理解しておくことが大切です。

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