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コンクリートの運搬

コンクリートは、練り混ぜたあとから少しずつ性状が変化していく材料です。そのため、打込み場所までどのように運ぶかは、品質や施工性に大きく関わります。施工管理技士を目指すうえでは、運搬方法だけでなく、材料分離や時間管理の考え方も押さえておくことが大切です。

コンクリートの運搬とは

コンクリートの運搬とは、練り混ぜたコンクリートを打込み場所まで移動させる作業のことです。レディーミクストコンクリートの場合は、工場で製造されたコンクリートを現場まで運ぶ工程と、現場に到着したコンクリートを実際の打込み位置まで運ぶ工程があります。

コンクリートは、セメント、水、細骨材、粗骨材などを混ぜ合わせた材料であり、運搬中の扱い方によっては品質が低下するおそれがあります。たとえば、運搬に時間がかかりすぎるとスランプが低下し、打込みや締固めがしにくくなることがあります。また、不適切な方法で移動させると、粗骨材とモルタル分が分かれる材料分離が起こる場合もあります。

そのためコンクリートの運搬では、単に現場へ届けるだけでなく練り混ぜたときの品質をできるだけ保ったまま、所定の場所へ確実に運ぶことが重要です。

コンクリートの主な運搬方法

コンクリートの運搬方法は、工場から現場まで運ぶ場合と、現場内で打込み場所まで運ぶ場合で異なります。ここでは、代表的な運搬方法を整理します。

トラックアジテータによる運搬

トラックアジテータは、レディーミクストコンクリートを工場から現場まで運搬する際に用いられる代表的な車両です。一般に「ミキサー車」と呼ばれることもあります。トラックアジテータは、荷台部分に回転するドラムを備えており、コンクリートを撹拌しながら運搬します。これにより、運搬中の材料分離を抑え、現場到着までコンクリートの均一性を保ちやすくなります。

ただし、ドラムを回転させているからといって、品質変化を完全に防げるわけではありません。時間の経過とともにスランプが低下したり、気温の影響を受けたりすることがあります。そのため、出荷時刻や到着時刻を確認し、打込みまでの時間を適切に管理することが重要です。

コンクリートポンプによる運搬

コンクリートポンプは、現場内でコンクリートを打込み場所まで圧送する方法です。ポンプ車や配管を用いて、コンクリートを水平方向または鉛直方向に送ることができます。高所への打設や、打込み場所まで重機が入りにくい現場、広い範囲に連続して打設する場合などに有効です。現場内での作業効率を高められるため、多くの土木・建築工事で用いられています。

一方で、ポンプ圧送では配管内で閉塞が起こるおそれがあります。また、圧送に適したワーカビリティが確保されていないと施工性が悪くなることもあります。そのため、配管計画や圧送距離、コンクリートの性状を事前に確認しておくことが大切です。

バケットやシュートによる運搬

バケットによる運搬は、クレーンなどでコンクリートを入れた容器を吊り上げ、打込み場所まで運ぶ方法です。橋脚や基礎、ダムなど、打設場所の条件によって採用されることがあります。

これらの方法は、現場条件に応じて有効ですが、落下高さが大きくなったり流下距離が長くなったりすると、材料分離が起こりやすくなります。そのため、コンクリートを乱暴に扱わずできるだけ均一な状態を保ったまま打込み位置へ送ることが重要です。

コンクリート運搬時に起こりやすい問題

コンクリートは、練り混ぜた直後から時間の経過や外気温、運搬方法の影響を受けます。運搬中の管理が不十分だと、現場に到着した時点で施工しにくい状態になったり構造物の品質に影響したりするおそれがあります。ここでは、コンクリートの運搬時に起こりやすい代表的なトラブルについて整理します。

材料分離

材料分離とは、コンクリートを構成する粗骨材、細骨材、セメントペースト、水などが均一な状態を保てず、分かれてしまう現象です。コンクリートは本来、各材料がバランスよく混ざった状態で打ち込まれる必要がありますが、運搬や投入の方法が不適切だと、粗骨材だけが偏ったり水分が浮き上がったりすることがあります。

材料分離は、運搬距離が長い場合やコンクリートを高い位置から落下させた場合、シュートで長い距離を流した場合などに起こりやすくなります。また、必要以上に軟らかい配合の場合も分離のリスクが高まります。運搬中は過度な振動や衝撃を避け、打込み時には落下高さや投入方法に注意することが大切です。

スランプの低下

スランプの低下とは、時間の経過とともにコンクリートの流動性が小さくなり施工しにくくなる現象です。スランプはフレッシュコンクリートの軟らかさや作業性を表す指標であり、打込みや締固めのしやすさに大きく関係します。コンクリートは、練り混ぜ後からセメントの水和反応が進むため、時間がたつほど徐々に硬くなっていきます。特に気温が高い時期は水分の蒸発や水和反応の進行が早くなり、スランプが低下しやすくなります。

スランプが低下したコンクリートを無理に打ち込むと、締固め不足や充填不良につながる可能性があります。また、現場で安易に加水すると、水セメント比が変わり、強度や耐久性の低下を招くおそれも…。そのため、施工管理では運搬時間を適切に管理し、受入れ時のスランプ確認を確実に行うことが重要です。

空気量や温度の変化

コンクリートの品質には、空気量や温度も大きく関係します。特にAEコンクリートでは、適切な空気量を確保することで、ワーカビリティや凍結融解抵抗性を高めることができます。しかし、運搬中の撹拌や時間経過、温度条件によって空気量が変化することがあります。

空気量が不足すると、寒冷地などでは凍結融解に対する抵抗性が低下するおそれがあります。一方で、空気量が多すぎると圧縮強度の低下につながる場合があります。そのため、現場到着時には空気量試験を行い、規定の範囲内にあるか確認することが大切です。

また、コンクリート温度の管理も重要です。暑中コンクリートでは温度が高くなりすぎると、スランプの低下や急激な凝結、ひび割れのリスクが高まります。寒中コンクリートでは、温度が低すぎると硬化が遅れたり初期凍害を受けたりするおそれがあります。

コンクリート運搬における施工管理のポイント

コンクリートの運搬では、練り混ぜた状態の品質をできるだけ保ったまま打込み場所まで届けることが重要です。そのため施工管理では運搬方法だけでなく、時間、品質確認、打込み計画との連携まで含めて管理する必要があります。

運搬時間を管理する

コンクリートは、練り混ぜ後から時間の経過とともに性状が変化します。そのため、製造から現場到着までの時間、さらに打込みが完了するまでの時間を適切に管理することが大切です。

レディーミクストコンクリートの場合は、納入書に記載された出荷時刻や到着時刻を確認し、長時間の待機が発生していないかを把握します。運搬時間が長くなると、スランプの低下や凝結の進行につながるおそれがあるため、打込み作業との連携も重要です。

材料分離を防ぐ

運搬中や投入時にコンクリートへ強い衝撃が加わると、粗骨材とモルタル分が分かれる材料分離が起こることがあります。材料分離は、強度や耐久性のばらつきにつながるため、施工品質を確保するうえで注意が必要です。

材料分離を防ぐには、過度な振動や高い位置からの落下を避け、できるだけ均一な状態で打込み場所まで運ぶことが基本です。シュートやバケットを使用する場合は、流下距離や落下高さを確認し、コンクリートが乱れにくい方法を選ぶことが求められます。

打込み計画と連携する

コンクリートの運搬は、打込み作業と切り離して考えることはできません。現場にコンクリートが到着しても打込み体制が整っていなければ待機時間が長くなり、品質低下につながる可能性があります。

そのため、運搬計画は打込み能力、人員配置、ポンプ車の設置位置、打設順序などとあわせて検討することが大切です。特に連続して打設する場合は、供給が途切れるとコールドジョイントの原因になることがあります。運搬と打込みの流れを事前に確認し、無理のない計画を立てることが重要です。

受入れ時の確認を行う

コンクリートが現場に到着したら、納入書の内容を確認し、発注した内容と一致しているかを確認します。呼び強度、スランプ、空気量、粗骨材最大寸法などが、設計図書や施工計画と合っているかを見ることが重要です。

また、必要に応じてスランプ試験、空気量試験、コンクリート温度の測定などを行い、打込みに適した状態であるかを確認します。受入れ時の確認は、運搬中に品質が変化していないかを判断する大切な工程です。

まとめ

コンクリートの運搬は、練り混ぜたコンクリートを品質を保ったまま打込み場所まで届ける重要な工程です。運搬時間が長くなったり、扱い方が不適切だったりすると、材料分離やスランプの低下などの品質低下につながるおそれがあります。

施工管理では、運搬方法の選定、時間管理、受入れ時の確認、打込み計画との連携を意識することが大切です。コンクリートの性質を理解し、打込みまでの流れを適切に管理することが、構造物の品質確保につながります。

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